奥飛騨だより

第19回 東海雪合戦大会in朝日

2015年2月号

テレビでオリンピックのカーリング競技を見ていると、超人的身体能力を有しているのではなく頭脳ゲームの要素が強いので、ゲートボールもそのうちオリンピック種目に選ばれるかもしれないと思います。でもゲートボールは冬の競技ではないので、冬なら何だろうと改めて考えると、そうだ「雪合戦」があるではないですか。国の威信をかけて雪合戦を行ったら、何かおもしろそうな気がしませんか。

どうしたら冬季オリンピック種目に選ばれるかというと、最低の条件としてオリンピック憲章に「3大陸25カ国以上で広く行われている競技のみ」と決められているので、少なくとも雪合戦の国際大会がないと話になりません。インターネットで調べてみるとあったのです、国際大会が。平成27年2月28日から3月1日に北海道壮瞥町で「第27回昭和新山国際雪合戦大会」が行われます。27回目ですから伝統があるではないですか。

更に調べると、国際雪合戦連合のホームページには「現在10カ国で大会・イベントが行われ」と書かれているので、オリンピック種目に選ばれる道が遠いことや、一般社団法人 日本雪合戦連盟なる組織があることも分かりました。

前置きが長くなりましたが、本日は平成27年2月8日、場所は岐阜県高山市朝日小学校グラウンド。この地にて「第27回昭和新山国際雪合戦大会」の予選会である「第19回 東海雪合戦大会in朝日」の決勝トーナメントが行われました。一般、レディース、小学生の部があるのですが、北海道への切符を手にするのは一般の部の優勝チームと準優勝チームの2チームです。一般の部は67チームがエントリーし、前日7日に予選リーグがあるので結構な大会規模です。駐車場に止まっている車のナンバーを見ると、沼津・松本・滋賀・富山・岐阜と遠方の参加があり、東海地方の大会という様子が伺えます。

ここで競技ルールを簡単に説明します。1チームは7名、補欠2名、監督1名の10名まで登録が可で、監督も選手として出場できます。1セットの試合時間は3分間、雪玉数は90個。競技の勝敗は3セットを行い、2セット取ったチームが勝ちです。

雪玉は製造機で雪をガンガン圧縮して作るので、当たるとかなり痛いのではないかと思うのですが、防具は頭を守るヘルメットと顔面を守る透明フェンスだけです。

第19回 東海雪合戦大会in朝日

第19回 東海雪合戦大会in朝日

第19回 東海雪合戦大会in朝日

雪合戦ですから相手に雪玉を当てれば良いのですが、競技者がセンターラインを越えて相手側コートに入ることができるのは3名以内という制限があります。また双方にチームフラッグを立て、それが抜かれると勝敗が決します。

1セットの勝敗は競技者1人を1ポイントとして計算し、雪玉が体の一部に当たるとアウトとなり、その選手はコートから出ます。セットの勝敗は次のように決まります。

相手競技者全員をアウトにする セットが終了し10ポイントを獲得
雪玉に当たることなく相手チームのフラッグを抜く セットが終了し10ポイントを獲得
3分経過した時点で競技が続いている 時間終了となり、コート内の人数でポイントを計算します。同点の場合は引き分けです

3セットを終えたところで引き分けがあった場合は次のように決まります。

取得セットが同じ場合 全ての取得ポイントを合算して勝敗を決します
取得セット、得点ポイントが同じ場合 ビクトリー・スロー合戦で試合の勝敗を決します。ビクトリー・スローとはサッカーのPKのようなもので、標的めがけて1人1球を投げ、標的を多く落としたチームが勝ちとなります

子供の頃に行った雪合戦の感じでは、たった3分間で決着するのかと思っていましたが、実際に試合を見ると3分は長いくらいで、それ以上は体力的にきつい感じです。試合開始と同時に怒涛の如く猪突猛進するチームもあれば、静かにスタートするチームもあり、それぞれのカラーがあります。

雪玉は自陣コートの最後尾の壁の後ろに置くので、最前線の味方に補給する必要があります。転がして球を渡すのです。手持ちの球がなくなっては攻撃できないし、進撃してくる敵を防ぐこともできません。自分を守るには相手に球を当てるしかないからです。調子よく全ての球を投げ切ってしまっては、守る術がなくなるので、簡単にフラッグを抜かれてしまいます。

壁に隠れた敵に当てるために山なりの軌道で上から狙ったり、数人が一斉に一人をターゲットに球を投げたり工夫をしています。残っている人数が少ない場合はこのまま行けばセットを落とすのは明らかなので、一発逆転のフラッグ抜きを狙います。フラッグを抜くシーンもありました。

さて決勝戦ですが、岐阜県可児市のチームと富山県のチームとの対戦となりました。1セット目は誰もアウトにならず引き分けで、緊迫したスタートを切りました。決勝となるときびきびとした動作で、球のスピードが違い、手に汗握る応酬がありました。結果は2セット目、3セット目と僅差で競り勝った岐阜県のチームが勝利をおさめました。

北海道の国際大会を制するチームはどんなレベルなのだろうか。その上のオリンピック種目となれば、きっと壁から顔を出した一瞬をのがさず当てるスナイパーのような選手がいるのだろう。オリンピック種目となった雪合戦を見てみたいとの思いを強くして帰路につきました。

第19回 東海雪合戦大会in朝日

第19回 東海雪合戦大会in朝日

第19回 東海雪合戦大会in朝日

第19回 東海雪合戦大会in朝日

2015年の一覧