


三池レアメタル工場への期待という面では、別のリサイクルプロジェクトも注目されている。レアメタルと同じ希少資源、レアアース(希土類)のリサイクルだ。レアアースとはイットリウム、スカンジウム、セリウムなど17元素の総称。埋蔵量の3割、生産量の9割が中国に集中しており、レアメタルと同様、供給面での不安定要素が大きい資源だ。
三池レアメタル工場は、セリウムを原料とする研摩剤の国内トップメーカー。レアアース研摩剤は、液晶ガラス基板やフォトマスク基板などの研摩用として使われている。
「当工場では2年前から経済産業省の助成のもと、使用済研摩剤のリサイクル試験をスタートさせています。今年度からは総研とタイアップし、確立した新技術のスケールアップと更に低コスト・高回収率を両立させたプロセスの確立に取りかかる計画です」(堂本工場長)
4年前に総研から工場に赴任してきた尾形は「研究成果がこうして具体的な形になるのが工場の醍醐味。工場全体が一丸となった技術開発体制も仕事にハリを与えますね」と語る。
タンタルとセリウム――。三池レアメタル工場の主要生産品が、ともにリサイクルシステム化されることで、産業基盤の安定と環境負荷の低減に貢献する。一方で国、自治体、住民、それにお客様と協力しながら進むこれらのプロジェクトは、新たな社会的紐帯を生みだす契機となる可能性も秘めている。
当工場で製造するセリウムやタンタル・ニオブは、先端産業に不可欠な素材です。このリサイクルシステムが完成すると、三池レアメタル工場内で製造と再生、つまり「動脈」と「静脈」が両立することになる。これは関連業界にとっても大きな意義があると思いますね。私は入社当初から当工場に勤務しており、中国現地での原料調達やビーカー試験など、レアアースの事業化に最初から関わってきました。現場ならではの苦労もありますが、モノづくりというのは本当に面白いですよ。