エンジンと電気モーターの2つの動力源を持つハイブリッド車が、低燃費・省資源の車として脚光を浴びて早15年以上。ハイブリッドシステムの進化は、電池の進化と共にありました。三井金属は1985年頃、ハイブリッド車の動力源となるニッケル水素電池の開発が世界で本格化すると同時に、その負極材として用いられる水素吸蔵合金の技術開発に着手。その開発は、電池の寿命との戦いでした。10年ほど前の携帯電話を思い出してください。買ってすぐは電池が長持ちしたのに、しばらくすると、すぐ充電が切れるようになりませんでしたか?もしハイブリッド車の電池も同じだったら。ちょっと走っただけで、すぐ充電切れを起こしてしまう。これでは、ただのガソリン車になってしまいます。10年後も、新品の頃に負けない充電性能を。ハイブリッド車の実現において、それは最大の壁でした。

中でも困難と言われたのが、寿命の評価方法。理論上10年もつ水素吸蔵合金が実現できたとしても、その証明に10年かかっているようでは、ハイブリッド車の開発は進みません。三井金属は電池メーカーとすり合わせを重ね、非常に短期間で、水素吸蔵合金の寿命を証明する評価方法を可能にしました。その結果、私たちの水素吸蔵合金はハイブリッド車への採用を常に維持し続けています。その後もさらなる性能向上を追求し、今では電池としての出力密度は約6倍にまで高まり、世界シェアはトップクラスを誇ります。ハイブリッド車の世界的な普及に、大きく貢献しています。

そしてこの水素吸蔵合金の製造で培った技術は、近年注目を集める電気自動車にも深く関わっています。電気自動車に搭載される、リチウムイオン二次電池。その材料は主に正極材、負極材、電解液、セパレータの4つ。中でも正極材の進歩が、電池の性能に大きく関与します。しかしこの正極材は、非常にデリケート。製造工程で不純物が混入してしまうと、電気自動車の走行中、電池が発火してしまう恐れがあるのです。いかに不純物を管理するか。実はこのテーマ、水素吸蔵合金製造のテーマでもあったのです。世界には、まだまだ戦後の日本レベルの国がたくさん残されています。かつて日本は、経済の発展と共に公害問題を引き起こしました。新興国でも同じことが起きる可能性は大いにあります。クリーンな自動車の普及に貢献すること。それは、世界を救うことと言えるかもしれません。


武藤 穣YUTAKA MUTO

機能材料事業本部
電池材料事業部 製造部 竹原電池材料工場 製造2係
2011年入社
工学研究科 電子情報工学専攻 修了

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