橋梁や建築物、自動車には鉄が使われています。それらが錆びないのは、「亜鉛」の防錆効果のおかげ。亜鉛から作られる亜鉛合金は耐食性の高いメッキのベースとなりますし、その他、化成品、ダイカスト製品など、単体で製品になることはない控えめな存在ながら、幅広い分野で使用されている産業の基礎素材です。三井金属は、かつて国内で操業していた神岡鉱山で培った資源開発技術を駆使し、2つの亜鉛鉱山を操業しています。南米ペルーにて1968年開山のワンサラ鉱山、そこから南40キロに位置し、2006年に開山したパルカ鉱山を有し、積極的に海外の資源開発事業を展開。国内の亜鉛全生産量の40%のシェアを握る自社への供給だけでなく、国内外へ亜鉛精鉱を供給し、鉱山事業単体での収益化を図ってきました。

鉱山事業は、事業化まで長い期間を要します。まずは探鉱からスタートし、採掘に取り掛かるまでおよそ10年。鉱山は工場などと違って場所を変えることはできないため、慎重を期します。鉱床を経済的に採掘できるか調査を行い、採掘に必要な道路、電気、水道などのインフラの開発、需要調査まで、収益を上げるため様々な検討要件があります。

中国、インド、東南アジアなどが急速な発展を遂げており、今後も亜鉛の消費量は増加していくでしょう。世界には亜鉛を採掘可能な鉱山が数百ありますが、大規模鉱山を中心に全体の1割ほどが近い将来閉山すると見込まれています。日本は資源に乏しい国であり、資源確保は喫緊の課題です。現在、ペルーのアタラヤプロジェクトや、ジョイントベンチャーで進めているカナダ ブリティッシュコロンビア州のラドック・クリークプロジェクトで探鉱活動を行っている他、新規鉱床の発掘調査も積極的に進めています。

鉱山プロジェクトの権益を、どの段階で取得するかの判断は難しいところです。調査が進むほど買収費用は高額になります。三井金属では地道に未発見の鉱床を求めて権益を取得し、自分たちで調査を行い、鉱山の価値を高めています。技術力で、他企業にまだ知られていない、ここぞという鉱床を見つけた時はうれしいですね。新しい鉱山を開山し、事業化させることは人生で何度もあることではありません。一度開山すれば何十年も操業が続き社会に貢献できる、大きな事業です。また鉱山周辺の地域住民と共存・共栄していくことも大事です。人生を賭けて取り組むにふさわしいスケールのビジネスだと誇りに感じています。


黒川 博司HIROSHI KUROKAWA

サンタルイサ鉱業(株)

1994年入社
鉱山学部 採鉱学科 卒業

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