ほんの少し前まで、自動車はお母さんたちを悩ませていました。子供を抱いていたり、大量の買い物袋をぶら下げていたりすると、車のドアが開けにくかったのです。それを解決したのが、「パワースライドドア」「パワーバックドア」。ボタンにタッチしたり、キー付属のリモコンで自動開閉したりする、この “人に優しい”新たな機能は、ここ数年で急速に普及。ミニバンや軽自動車に標準採用されるようになりました。

私たちは自動車の重要機能部品であるドアロックをはじめスライドドアなどのドアシステムやその他ドア周辺部品を開発・製造・販売しています。ドアロックやスライドシステムなどは一見、燃費に無関係に思われるかもしれませんが、小型軽量化することで燃費の改善にも寄与できます。今後は自動車も更なる軽量化のためにドアの樹脂化も始まっており、我々もそういった変化に合わせて新たな商品価値を生み出していく必要があります。
例えば、自動車の電動化が進む中で、従来メカニカル部品だったドアロックも次第に電動化が進んでいます。ただし、電動化にはバッテリー上がりにより動作できなくなったり、ノイズなどによる誤作動をおこすなど新たなリスクがあります。このようなリスクを回避するために様々な制御設計や回路設計を施します。すべての面から機能安全を図ることが、自動車部品サプライヤーの義務なのです。

三井金属の自動車機能部品事業部門である三井金属アクトは、サイドドアラッチでは世界シェア20%でNo.1。高い品質が世界から評価されています。グローバルメーカーに求められるのは、地域ごとに異なる多様な要求に応えていくこと。例えば、日本では信じられませんが、海外では洗車時に車内まで水洗いされるケースもあり、その場合防水仕様が必須となります。また、砂漠の国では防塵性を高めていても、10年、20年と走り続ければ、細部にまで砂が入り込む可能性はゼロじゃない。いかなる状況下でもユーザーの安全を守るため、通常の使用方法とはかけ離れた試験も必要です。そのために、ユーザーのあらゆる使用環境を想定し、試験と評価に多くの時間を必要とします。

今後は総合力で、世界と戦っていきたい。現在、ストライカーと呼ばれるドアロック部品の軽量化、強度向上のために、素材開発、鋳造技術等の分野で三井金属機能材料研究所と共同開発を行っています。また、材料である金属のリサイクルにおいてもグループシナジーを発揮できるでしょう。今までの技術や発想では生み出すことのできない「未来の製品」のための、新たな挑戦はもう始まっています。


川本 慎MAKOTO KAWAMOTO

三井金属アクト(株)
開発本部 商品企画室 先行技術G
2014年入社
総合理工学研究科 材料物理科学専攻

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