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レアアース製品は、産業のキーマテリアルとして、蛍光体、超伝導、電池、触媒、磁石、積層セラミックコンデンサ、耐食膜、レーザ結晶、光学ガラス、焼結助剤、シンチレータ、造影剤、中性子吸収材など様々な用途で活用されています。このページではレアアースの応用例・利用事例をご紹介いたします。

超新星背景ニュートリノ検知

超新星背景ニュートリノ検知 イメージ

日本イットリウムは2015年から東京大学宇宙線研究所とスーパーカミオカンデに投入する硫酸ガドリニウムを開発し、2020年から当材料を活用した超新星背景ニュートリノの観測が開始されました。5万トンの超純水を使用したスーパーカミオカンデに投入する硫酸ガドリニウムは、高純度であることが要求され、特に放射性元素は、ノイズ低減のために極限まで低下させることが必要となります。 pptレベルの分析技術は親会社の三井金属基礎評価研究所が開発し、日本イットリウムでは溶媒抽出やpH制御により放射性元素(ウラン、トリウム)をpptレベルまで低減することに成功しました。

レーザ結晶、蛍光体

レーザ結晶イメージ1レーザ結晶イメージ2レーザ結晶イメージ3

レアアースは特定波長を吸収し発光します。これを利用してレーザ結晶や蛍光体材料に広く用いられています。加工等多用途のNdレーザ(1.06µm)、通信用Erレーザ(1.5µm)、医療用Erレーザ(2.9µm)などがあります。
蛍光体も幅広い用途(ブラウン管、蛍光灯等)で古くから使用されてきましたが、近年は白色LED用にCe:YAG(黄色)などが使用されています。

光学レンズ、ガラス

光学レンズ、ガラスイメージ1光学レンズ、ガラスイメージ2

レアアースは原子量が大きいので屈折率が高く、光学材料用途に広く用いられます。材料比重は高くても屈折率が高いため小型にすることが可能です。更にフッ化希土は紫外域や赤外域の透過率が高いので、ファイバーやアイソレータ材料に用いられます。
ガラスに希土類を添加すると固有の吸収波長と高屈折率が相まって、独特の色ガラスが得られます。ガラスにセリウムを添加すると紫外線吸収ガラスになります。希土類酸化物は陶磁器の釉薬としても広く用いられています。

固体酸化物型燃料電池

固体酸化物型燃料電池イメージ

固体酸化物型燃料電池(SOFC)の電解質層や燃料極(負極)には、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)などの酸素イオン伝導体が使用されております。また、空気極(正極)にもランタン系酸化物などの導電性セラミックスが用いられます。
SOFCは都市ガスを水素に改質し、それを燃料に発電や給湯などを行うことができるため、CO2の排出が少ないクリーンなエネルギー源として普及が広がっています。

ニッケル水素電池

ニッケル水素電池イメージ

ニッケル水素(Ni-MH)電池の負極にはミッシュメタル(MM)と呼ばれるLa,Ce混合金属が使われています。MMは水素吸蔵合金と呼ばれ、この水素が動くことで電気を発生する二次電池です。
また電池に少量の酸化イットリウム(Y2O3)を添加することで電池の寿命を延ばすことができるため、重要な添加物となっています。現在は乾電池の他、ハイブリッド自動車にもNi-MH電池が使用されています

自動車用排ガス触媒

自動車用排ガス触媒イメージ

ガソリン自動車排ガスに含まれる不完全燃焼炭化水素(CxHy)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)を無害化して二酸化炭素(CO2)や窒素(N2)で排出させる為に白金やロジウムなどの貴金属が用いられます。この作用を安定化させる為に酸化セリウム(CeO2)をベースとした酸化物(これを助触媒と呼びます)を添加します。酸化セリウムは酸素の貯蔵が可能なので排ガスの酸素濃度変化に応じて有害物の燃焼を補助することができます。
また石油精製や合成ゴムの重合にも希土類酸化物触媒が使用されています。

希土類磁石

希土類磁石イメージ

レアアースの中でも多くの磁気スピンを持つNd, Smなどの希土類と鉄族元素との組み合わせは保磁力が高く高磁力磁石になります。具体的にはSm2Co17, Sm2Fe17Nx, Nd2Fe14Bなどです。これらは電気自動車用モータ、風力発電用モータやHDD磁気ヘッドなど多岐に使用されています。

高温超伝導体

高温超伝導体イメージ

1987年にYBa2Cu3O7(Y123と呼ばれます)が液体窒素温度(-196℃)で超伝導を示す”高温超伝導体”であることが発見されて以降、世界中で研究が進んでいます。Y以外の希土類でも超伝導を発現するため、最近はREBCO超伝導体と呼ばれています。現在は高温超伝導電導ケーブルや高温超伝導NMR等の実用化に向けた開発が進んでいます。

MRI用造影剤

MRI用造影剤イメージ

MRIによる画像診断は、体内の異常を非破壊かつ高精度に検出できるため、医療現場での普及が進んでいます。MRIは体内の水分子振動の差を観察しますが、これに磁性を持つガドリニウムイオンを添加すると強度が高められ、コントラストの高い鮮明な画像を得ることができます。これを造影剤と呼びます。ガドリニウムが体内で悪影響を及ぼすことが無いよう体内で安定な有機物で被覆され、使用されています。

焼結助剤

焼結助剤イメージ

電気自動車制御など高熱を発するパワー半導体からの放熱には、熱伝導率が高い窒化アルミニウム(AlN)や窒化ケイ素(Si3N4)が使用されています。
窒化物は焼結し難い材料ですが、これに助剤として酸化イットリウム(Y2O3)を添加すると、緻密で強固な焼結体を得ることができます。 窒化物以外にも、各種セラミックスの焼結において、希土類粉末は焼結助剤として幅広く活用されております。

積層セラミックコンデンサ

積層セラミックコンデンサイメージ

電子部品の小型化はスマートフォンなどの小型高性能化に大きく貢献しています。こうした高性能電子機器には誘電体をサンドイッチ状に高積層化した積層セラミックコンデンサ(MLCC)が大量に使用されています。
セラミックコンデンサに希土類酸化物を添加すると、信頼性が大きく向上することが知られており、様々なレアアース酸化物が使用されています。

耐蝕膜及び焼結体

耐蝕膜及び焼結体イメージ

シリコン上に高積層回路を作製するCPUやメモリー等は成膜とドライエッチングを繰り返します。ドライエッチングにはCF4ガスによるプラズマなどが使用されますが、その際に回路基板以外の金属やセラミックスなども腐食されて微粒子が浮遊し、半導体の歩留まり低下の原因となります。フッ素(CF4)に対して耐性が高い材料(Y-O-F等)を金属などの表面に溶射などで成膜、もしくは焼結体を用いることで、プラズマ耐性を高めることができ、腐食を防ぐことができます。回路配線幅が狭くなるにつれ、このような耐食皮膜による保護が不可欠になります。

中性子吸収材

中性子吸収材イメージ

ガドリニウムは熱中性子の吸収能が非常に高いため、核分裂の制御材などに使用されています。また、酸化ガドリニウムを塗布した壁や基材、ガドリニウム箔は、熱中性子吸収材となります。
数十~数百µm程度の塗膜や箔で、中性子による放射化抑制、放射線漏洩防止が期待できることから、従来のような厚い遮蔽壁を無くすことができ、装置の軽量化や、メンテナンスの簡易化につながることが期待されます。

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