奥飛騨だより

新穂高ロープウェイ(2009.11月号)

2009年11月号

秋が深まるにつれ、飛騨各地の行楽地は一層の賑わいを見せます。中でも、北アルプス周辺はとても人気があり、土日はどこも観光客・登山客で一杯です。今月はそんな北アルプスから、特に新穂高ロープウェイについてご紹介します。

新穂高ロープウェイは、三井金属ユアソフト本社から車で1時間程度の高山市奥飛騨温泉郷に位置します。こちらには第1、第2の2つのロープウェイがあり、左の写真は第2ロープウェイの様子になります。ご覧のように2階建てのゴンドラがこの第2ロープウェイの特徴です(ちなみに第1ロープウェイは1階建てです)。何でも日本初の2階建てゴンドラとのことで、一度に100人以上を乗せて運行することができるそうです。ゴンドラの大きな窓からは、一面に広がる鮮やかな紅葉風景を望むことができます。

第2ロープウェイの乗り場であるしらかば平駅から終点の西穂高口駅までは僅か7分程度、あっという間に標高2156メートルまで登ってしまいます。西穂高口駅に到着したら、まずは展望台へと向かうのが定番コースのようです。そこで待っているのは360度にわたり展開される3000メートル級の山々の景観。まさに絶景という言葉がぴったりです。しかし同時に想像以上の気温の低さにも驚かされます。それでも、展望台では記念撮影などをする人々の姿が一日中絶えることはありません。

観光目的の場合は、通常この展望台と西穂高口駅周辺の千石園地を散策して帰路につきますが、登山目的の場合はここからがスタートになります。標高2385メートルの西穂山荘を経由して、展望台からも見える西穂高岳へ。必須アイテムである「熊除けの鈴」を鳴らしながら登っていくと、ちょうど西穂山荘付近で高い木々がなくなります。ここが森林限界のようです。ここより高い場所では左の写真の手前に写っているようなハイマツが、景色の大部分を占めるようになります。 

ハイマツの林に期待するものといえばやはり雷鳥(ライチョウ)です。岐阜県や富山県の県鳥にも指定されている雷鳥は、このハイマツの下などを天敵から身を守るための隠れ家としています。日本には現在3000羽程度しか生息していないそうですから、偶然見ることができたならとても幸運だと思います。写真は登山道をひょこひょこ歩いている雷鳥の様子です。独特の鳴き声と共にどこからか飛んできて、登山道を歩いて横切り、最後はハイマツの林の中に消えて行きました。

秋の北アルプスは見所が多く、残念ながらここだけではその魅力をとても紹介しきれません。山頂と麓では標高差があるため、紅葉も比較的長い期間楽しめると思います。是非足を運んで実際にご覧いただきたい風景です。

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