奥飛騨だより

田舎のお正月(2011.1月号)

2011年1月号

あけましておめでとうございます。
今回は私の田舎(高山市上宝町)の小さな集落の正月を紹介いたします。

 まずは玄関に飾る門松ですが三本の竹に飾りを施す一般的なものではなく、松の木と榊(さかき)に紙垂(四手)を飾ったシンプルな物です。
玄関には、その年収穫した藁(わら)でなった*1しめ縄を飾っていましたが、最近では しめ縄をなう*1事がなくなり市販の飾りが吊るされています。
 我が家でも囲炉裏でわら打ちをしてしめ縄作りや花餅作りを家族みんなでしていたことがとても懐かしい思い出です。今年も年末からの雪で真っ白なお正月となりました。
*1なった、なう (藁で編む事)

 昔から鰤(ぶり)を越中まで運ぶ道とされてきた通称「ぶり街道(北陸~飛騨~信州)」の中間地点となる飛騨では、縁起物(出生魚)の鰤で年越しをする家が多いようです。
スーパーや魚屋さんでも所狭しと、鰤が並べられていますが、値段は1切れ500円~3,000円と様々です。 我が家でも、夕食には焼いた鰤、刺身が並んでいました。
 また元日の朝は、家主が最初に起き、火を熾してお餅を焼くことから始まります。これは一年の感謝と今年一年、家事を頼むとの意味と聞いています。 同じ飛騨でも、お雑煮は各家々でお餅と正月菜だけの所や具沢山の所などいろいろあります。 私の実家では、イカ・アゲ・かまぼこ・鶏肉・正月菜・ワラビなどたっぷりの具をいれたお雑煮を毎年頂きます。

 元日の朝は近くの神社へ初詣に出かけます。 普段は誰もいない山奥の小さな神社です。 春祭り、秋祭り、お正月以外は使用することが無く静かな場所にあります。
 今年は、まずは昨夜から積った雪除けから始まりました。 人手が無いので大人から子供まで一家総動員での作業となりました。 明治神宮では昨年は320万人が初詣に訪れたそうですが、ここへの参拝者は10人ぐらいです。 都会の神様より沢山の願い事をしても聞いてもらえるかもしれませんね?

 お参りの前に手水舎で身を清めますが、谷からの湧き水の為にとても冷たくズキズキと身に沁み、身も心もリセットされたような感覚になります。
 気分を新たに沢山のお願い(参拝者が家族だけでしたので少し頼みすぎたかも?)をして家に帰り、暖かいコタツの中で家族との団らんとなりました。

 お正月の過ごし方は、その地域によって多種多様です。
皆さんはどのようなお正月を過ごされたのでしょうか?

本年もよろしくお願い致します。

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