奥飛騨だより

太平山 安国寺(2011.7月号)

2011年7月号

今回は、岐阜県高山市国府町にある安国寺をご紹介します。

飛騨国の安国寺は、室町時代に将軍足利尊氏・直義兄弟が、国土安泰を祈り全国に建立した安国寺の一つとして、正平2年(1347年)に創建されました。
安国寺は、全国に68ヶ寺あったといわれています。
一休さんが修行した事で有名な、京都の安国寺もこの一つですが、応仁の乱の際に焼失しています。

門をくぐると、左手に本堂があります。
ご本尊は釈迦牟尼仏で、右側に文殊菩薩、左側に普賢菩薩の釈迦三尊仏が並びます。

本堂の左には薬師堂があり、その右奥には弁天堂があります。
弁天堂の手前の小さな池に橋が架かっており、なんともいえない風情が感じられます。

さらに弁天堂右奥の石段を登ると、経蔵があります。
経蔵は、明治42年に特別保護建造物の指定を受け、昭和38年に国宝に指定されています。
内部には、日本最古の八角輪蔵があり、一切経が収められています。
八角輪蔵は、床から屋根まで通された心柱を中心に回転させられるようになっており、一回転させる事で、その中の経典を全て読んだのと同等の功徳が得られるとされています。
経蔵の拝観は予約制で、拝観料が一人500円となります。

経蔵の右には、飛騨の民話 安国寺のきつね小僧 にまつわる稲荷社があり、蛻庵(ぜいあん)様の座像があります。
この民話の内容ですが、蛻庵と名づけられた子狐が小坊主に化けて、和尚様と暮らしていましたが、ある日猟師に正体がばれて、鉄砲で撃ち殺されてしまうというものです。
一見、かわいそうな子狐の悲話かと思えますが、実は猟師が哀れであるという内容の道徳的な民話です。

飛騨高山へお越しの際は、ちょっと足を延ばして文化遺産にふれてみては如何でしょうか。

[住所]岐阜県高山市国府町西門前474  [TEL] 0577-72-2173
<交通アクセス>
中部縦貫道高山西ICから国道41号経由30分
JR飛騨高山駅より車で国道41号経由30分
JR飛騨国府駅より車で10分

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