奥飛騨だより

宇津江四十八滝の風景

2009.1月号

 あけましておめでとうございます。 今月は高山市国府町にある渓谷、宇津江四十八滝の冬の風景をご紹介します。 例年であれば雪景色が撮影できたのですが、やはり地球温暖化の影響でしょうか? 今年は雪が少ないようです。

 宇津江四十八滝は、その名称から48の滝があるように思われがちですが、実際には大小13の滝の総称です。 この場所は、岐阜県の県立指定公園になっています。さらには、紅葉の美しさは「飛騨・美濃紅葉三十三選」に、 四季折々の景観は「日本の自然100選」に、それぞれ数えられています。いまや飛騨地方を代表する名所のひとつ、と言えるかもしれません。
 また、園内にはキャンプ場があります。こちらにも県内外から多くの人が訪れ、滝めぐりとあわせて、大自然を満喫されています。

 滝めぐりという言葉には、簡単に足を踏み入れることができない、秘境のイメージが内包されるように思えます。そして宇津江四十八滝の景色は、まさに秘境と呼ぶに相応しいものと思います。とはいえ、遊歩道を辿れば、難なく景色を楽しめるのですから、お手軽な秘境です。
 13ある滝は、その落差も様々。人の背丈ほどのささやかな滝から思わず見上げてしまうほどの滝まで、バラエティ豊かです。各滝の前には立て看板があり、名称とその由来が記されています。周囲の様子から名前がついた「わん水滝」や「瑠璃滝」などがユニークです。

 滝めぐりの片道はおよそ900メートル。距離だけ聞くと物足りなさを感じるかもしれません。ところが場所によっては勾配が急だったり、歩き続けるのはなかなかに大変です。ですがご安心を。歩き疲れる頃を見計らったように、展望台が見えてきます。
 この展望台からの見晴らしはとてもよく、天気が良い日は遠く北アルプスの山々を望むことができます。付近には北アルプスの形と名称が書かれた看板が立てられていますから、 どの山が見えているのか、山に詳しくない方でもすぐにわかります。

 最上部に位置する上平滝を見終えた後は、今まで登ってきた道を、今度はひたすら下ることになります。遊歩道や滝を見下ろしながら下るため、登りとはまた違う景色のように感じます。
 例えば右の写真のように、滝の上から滝つぼに水が落ちていく様子、こういった景色は、なかなか見ることが出来ないのではないでしょうか。 落ちていく水の轟々とした音と、滝の高さに思わず足がすくんでしまいますが、心なしか見上げたときよりもずっと高く感じました。現地に行ってみなければ体験できない迫力と面白さだと思います。

 例年であれば冬の宇津江四十八滝は雪で遊歩道が埋もれてしまうため、なかなか見ることが出来ないそうです。 皆さんも一度訪れてみたらいかがでしょうか。

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