奥飛騨だより

飛騨大鍾乳洞(2009.4月号)

2009年4月号

道路上の雪が跡形もなく解け、飛騨各地へ出かけることが容易になりました。 さて、今月は岐阜県高山市丹生川町の飛騨大鍾乳洞をご紹介します。

飛騨大鍾乳洞は標高乗鞍山麓の標高900メートルに位置する大きな洞窟で、高山市内から平湯方面へ車で一時間ほどの距離にあります。 現地では、まず飛騨大鍾乳洞の大きな看板と隣接される大橋コレクション館が目に飛び込んできます。 しかし、肝心の鍾乳洞自体はどこにあるのか、すぐにはわからないかもしれません。 よく周囲を見渡せば、山肌に突き刺さるように続く連絡路を発見することができるはずです。 実は、この連絡路を通って鍾乳洞の入り口へと向うことができるのです。写真左上にはその連絡路が写っています。 鍾乳洞の入り口がやや高いところにあることが見て取れるかと思います。

鍾乳洞の中の気温は、少し肌寒い程度。夏と冬の気温差が激しい飛騨地方にあって、年中ほぼ一定温に保たれている稀少な場所と言えます。 天井を見上げれば、つららのような鍾乳石がびっしりとひしめくように存在しています。 中には、鍾乳石が発達して地上につながった石柱や、植物の根が垂れ下がったような形の、ねじれ石と呼ばれる鍾乳石の姿も見ることがきます。 また、鍾乳石だけでなく、ウミユリ・フリズナ・サンゴといった海の生物の化石も散見されます。

鍾乳洞の中は狭いイメージがあったのですが、意外にも天井が高く広々とした空間もいくつかありました。 左の写真もそんな場所のひとつで、「竜宮の夜景」と呼ばれる場所です。 山奥の洞窟で竜宮?と一瞬思いましたが、海の生物の化石が多数見つかっていることを考えれば、なるほど、と納得できるネーミングです。 通路の左右には水が流れており、その水音とライトアップが相まって、見事に幻想的な雰囲気をつくりだしています。

さらに奥に進むと、やがて階段が続くようになり傾斜が次第に厳しくなってきます。 先ほどの幻想体験はどこへやら、洞穴探検の様相を呈してきます。鍾乳洞に入ってから1時間半ようやく出口に到着しました。 そこで思っても見なかった風景に出会うことができました。 切り立った崖に張り付いた氷、それが日光を浴びて青白く輝いていたのです。 昨年2月にご紹介した福地温泉の「青だる」を彷彿とさせる自然の造形美だと思います。

鍾乳洞の他にも、隣接された大橋コレクションの様々な展示も非常に興味深いものです。あの有名な金塊も展示されていますので、是非立ち寄られてみてはいかがでしょう。

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