奥飛騨だより

「そばの里」高山市荘川町(2009.8月号)

2009年8月号

梅雨明けが間近に迫り、日中の気温は日に日に上昇しています。いよいよ本格的な夏の到来です。蝉の声がひっきりなしに響きわたる最中、高山市荘川町では蕎麦の花が見頃を迎えました。今回はその様子をご紹介します。

高山市荘川町は近年、そばの里として知られるようになりました。左はそんな荘川町の見所のひとつである「荘川の里」での一枚です。こちらは以前ご紹介した「飛騨の里」と同じように昔の暮らしを今に伝える観光施設となっています。写真の茅葺屋根の建物は「寄棟式入母屋造り」という建築様式だそうです。建築には明るくないので難しいことはわかりませんが、昔の家らしく家屋内は昼間でも光があまり入りません。しかし雰囲気があって、これはこれで素敵です。

「荘川の里」の周辺には蕎麦畑が広がっていました。人の腰から胸ぐらいまでの高さまで延びた蕎麦に花が咲き誇っています。この日は常時風が吹いていて、穂先がひっきりなしにゆれていました。蕎麦同士が風でぶつかるとさわさわと優しい音が聞こえてきて、暑い中でもどこか涼しげな気分になります。ところで、蕎麦といえば、香ばしい香りがする、という先入観があったのですが、特にそういった匂いはなかったように思います。

蕎麦の花全体を眺めた後は、少し花に近づいてみました。小さな白い花びらと赤みを帯びた雄しべがとてもきれいです。この花が枯れたあと、小さな蕎麦の実が沢山成り、それが普段食しているような蕎麦の元になるわけですが、どうでしょう? 元々の姿はこのような小さな花だった、というのはちょっとした発見ではないでしょうか。蕎麦に限らず、どのような食べ物でも、食卓に並ぶ前の姿、というものを想像してみると、また色々発見がありそうです。

最後は蕎麦打ち体験の様子です。こちらは、三井金属ユアソフト本社のある飛騨市神岡町で開催されたものです。もちろん「蕎麦の里」」荘川でも蕎麦打ち体験はありますが、偶然にも近くで同様の催しを見つけました。参加者は地元の蕎麦打ち名人に手順を教わりながら、麺作りに挑戦。慣れない作業に四苦八苦しながらも、早い人ではわずか1時間程度で写真のような立派な麺が出来上がりました。ちなみに写真は蕎麦打ち体験に参加した三井金属ユアソフト社員が作ったものです。

さて、今回は蕎麦に焦点を当ててみましたが、いかがでしたでしょうか。高山市荘川の蕎麦は、また秋口頃に花を咲かせるようです。秋の行楽に蕎麦観賞をお加えになってみては?

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