奥飛騨だより

飛騨民族村 しめ縄作り(2010.1月号)

2010年1月号

 「新春のお喜びを申し上げます。」とは、お正月の常套挨拶ではありますが、飛騨地方はまだまだ春には遠いようです。 むしろこれからが冬本番、という気がします。 さて、今回は飛騨の里で催された藁細工体験の様子をお伝えします。

 11月初旬に初雪を迎えた飛騨地方ですが、それ以降は暖かい日が続きました。ひょっとしたら今年は雪の無いまま年越しを迎えるのでは、と思っていましたが、12月中旬にきて大寒波が到来。 雪は昼夜を問わずしんしんと降り続け、大人の腰の辺りまで積もったところもありました。そんな中訪れた飛騨民族村は、見事な雪化粧に彩られていました。 雪国特有の風景は美しいですが、寒さで指先はかじかみ、耳も鼻も真っ赤になってしまいます。

 飛騨民族村は合掌造り民家等を何軒も移築して、昔の暮らしを今に再現した施設です。ここでは年間を通じて様々な催しがあります。
 今回、しめ縄作りが体験できると聞き、旧西岡家にお邪魔しました。薄暗い居間の中央には囲炉裏があり、そこで講師の方が黙々と藁細工を作っていました。居間の一角には雪から身を守るための蓑や草履、器用に編まれた袋などの展示品がありましたが、どのような手順で作られているのか、一見しただけではさっぱりわかりません。

 いよいよ、しめ縄作りを体験します。 まずは作りたいしめ縄の形を選ぶのですが、今回は初めてなので一番簡素ものに挑戦することにしました。 一握りの藁を根元で束ねて、均等に3つに分けます。そのうちの1つを左に捻っていきます。 しめ縄は神様へ捧げるものなので全て左ひねりにするそうです。 ある程度の長さになったら、捻った部分が解けないように足で押さえ、3つ全部を左に捻ります。 全て捻り終わったら今度は編みこみの作業です。

 この作業がしめ縄の出来を左右するということで自然と力が入ります。講師の方のようには上手くいかず、何度も手直しを加えながら編んでいきましたが、 まき直しをすると先ほど捻った部分が緩んでしまい、なかなか思うようにはいきません。何とか3つの藁の束を一本にまとめ上げ、しめ縄の形象ができたら円を描くように捻り、重なった部分を長めの藁で縛ります。縛った藁の先端を適当な長さに整えたら、紙垂(しで)と稲穂をつけて完成です。

 今回は一番簡単な形を選んだので、30分で出来上がりました。 しめ縄を作るのはとても楽しく、是非また体験してみたいと思います。 皆さんも一度体験されてみてはいかがでしょうか。

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