奥飛騨だより

アニマルトレッキングとジビエ料理体験ツアー (2010.3月号)

2010年3月号

 2月は梅の花が咲いた地域もありましたが、飛騨は未だ雪景色。立春・雨水を過ぎても春は遠くに感じられます。それでも日中は暖かい日がずいぶん増えました。それに伴い、人も町も次第に活発さを取り戻しつつあります。さて、そんな中、今回は「アニマルトレッキングとジビエ料理体験ツアー」をご紹介いたします。

 「アニマルトレッキングとジビエ料理体験ツアー」は、三井金属ユアソフト本社から車でおよそ1時間、高山市のモンデウス位山スノーパークの麓で開催されました。主催は「ひだ未来の森ネット事務局」という、飛騨地方を中心に人と自然との共生について様々な活動をされている団体です。スキーや雪祭りなどの一般的な冬の楽しみ方と比べると、こちらのイベントはやや啓蒙的です。しかし、環境保護が声高に叫ばれる昨今、こうしたイベントの重要性は増して来ています。

 最初に現役猟師の田中正至さんから「森と動物」についてのお話を伺いました。テンやキツネの剥製、熊の手などの資料を用いた講義は猟師さんならではで、大変興味深いものでした。しかし、中には大変深刻な話もありました。それは近年、猟師の数が減少しつつあるということです。このことで野生動物の数を調整することが難しくなってしまい、特定種が増えすぎてしまったそうです。その結果、食害で森が枯れるという現象が今、日本の森で起きています。

 猟師さんのお話が終わると、ちょうどお昼時になりました。次はジビエ料理(野生の鳥獣肉を使った料理)体験です。参加者にはまず特製イノシシ汁が振舞われます。もちろんこれだけでなく、クマやシカのソーセージを使ったバーベキューなど、普段なかなか食べられない珍味がズラリと並びました。牛や豚とは異なる味に参加者は若干戸惑いながらも、その意外な美味しさに舌鼓を鳴らした様子。お腹一杯になるころにはジビエ料理に対する抵抗はなくなっていたようです。

 そして、いよいよアニマルトレッキングです。冬山は道路などと違い除雪が一切されていませんので、普通の靴では自重で沈んでしまいます。そのためスノーシュー(かんじき)を履いて山に入る必要があります。しかし、スノーシューは意外に難しく、慣れないうちは普通に歩くこともままなりません。幸い今回は写真のような動物の痕跡をすぐに発見することができました。これはテンの足跡ですね。振り返れば道路が見えるような、人の住処に程近い場所での「出会い」です。

 このようなツアーに参加すると、自然に囲まれた環境下で暮らしていても知らないことが多いことに気付かされます。知見が広がりますし、機会があれば是非参加されてみてはいかがでしょう。

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