奥飛騨だより

高山祭(春の山王祭)(2010.5月号)

2010年5月号

4月の中旬になると気温も少しずつ暖かくなり飛騨地方の桜も咲き始めました。待ちわびた春がようやくやってきたようです。今月は高山祭(春の山王祭)の様子をお届けします。

高山祭は「春の山王祭」と「秋の八幡祭」の総称で、16世紀後半から17世紀が起源とされています。 「山王祭」は旧高山城下町の氏神様である日枝神社(山王様)のお祭で、毎年4月14日と15日に行われます。 山王祭の見所は多々ありますが、豪華絢爛な12台の屋台の曳き揃えや夜祭が特に有名です。 この日は、気温が低く雪がちらつく生憎の天候となりましたが、屋台を一目見ようと全国各地さらには海外の方など 大勢の人で混雑していました。

写真は午前と午後に一回ずつ行われる「からくり奉納」の様子です。「三番叟(さんばそう)」「石橋台(しゃっきょうたい)」「龍神台(りゅうじんたい)」の3つの屋台にて行われます。 からくりの操作は綱で行われ、中でも「龍神台」のからくりは32本の綱で操作しなくてはならないため熟練の綱方でも大変難しいそうです。 曲に合わせて動くからくり人形の所作は、まるで生きている人間の様で、人形が紙ふぶきとともに登場する場面では観衆から大きな拍手が あがりました。

昼のからくり奉納が終わると、いよいよ夜祭の準備です。屋台では提灯の設置が行われるのですが、この提灯の設置がなかなか大変なようです。 提灯の中へ火のついた長いろうそくを一本ずつ手作業で入れていきます。 中にはろうそくの変わりに電灯で提灯を灯す屋台もありますが、この屋台はほとんどがろうそくでした。 提灯は屋台に約百個あり、ひとつずつ手作業で行うのですから数人で手分けしてもかなりの時間がかかります。

各屋台で提灯の点灯が終わるといよいよ夜祭りの開始です。まず獅子舞が奉納された後、屋台が町を巡ります。 屋台に乗った子供たちが御囃子を演奏する中「ぎしぎし」と音をたてて曳かれる屋台は、昼にみた屋台とは全く別物のようです。 夕暮れの古い町並みを背景としているからでしょうか?まるで大昔にタイムスリップしたような幻想的な風景を作り出しながら屋台は進みます。 屋台の灯りは自身に施された装飾を照らしその美しさを引き立たせていました。

京都市の祇園祭、埼玉県秩父市の秩父夜祭と並んで日本三大曳山祭の一つに数えられる高山祭。来年の春に見に来てはいかがでしょうか。

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