奥飛騨だより

史跡江馬氏館跡公園

2010年11月号

今年は過去例が無いほどの猛暑日続きの暑い夏でしたが、その反動もあってか10月に入ってからは突然秋を通り越して冬になったかと思うほどの寒い日が続いています。皆様も風邪などひかれませんようにお気をつけ下さい。さて、今月は飛騨市神岡町にあります"江馬氏(えま氏)"のお屋敷跡をご紹介します。

江馬氏とは室町から戦国時代に飛騨地方北部を治めていたといわれる一族で、いわば当時の飛騨地方のお殿様です。そのお殿様の屋敷を復元したものが、今回ご紹介する「史跡江馬氏館跡公園」になります。
写真はお屋敷の主門です。立派な門に高い土塀がつづいています。手前の下っている部分は堀になっています。

これは会所建物です。会所とは文字通り館の主人が客人と会う為の建物で、見た目だけではなく構造や建材にもこだわって同時代の建物を再現しているそうです。
建物の中に入るには入館料(大人200円・小人100円)が必要ですが、時代背景や屋敷の内部構造についての説明をしてもらいながら各部屋を案内して頂き、中々満足度の高い見学でした。

会所の内部です。接客の間とよばれるお客様を迎える部屋で、奥にある主の居間へと続いています。写真では見えませんが、この接客の間の横には縁側が続いており、そこから表にある庭園を見渡す事が出来ます。この建物は、発掘された遺跡の跡地に現存する同年代の建物を参考にして復元された物ですが、実は遺跡の発見には、この庭園が深く関わっています。

これは軒先から見た庭園の一部ですが、背の高い石が沢山配置されています。数十年前までこの辺りは水田だったのですが、その中にいくつか大きな石の頭が飛び出しており言い伝えとして「この石は昔の殿様屋敷の庭石」と言われてきたそうです。その後、言い伝えを頼りに発掘調査を行った所、本当に当時の屋敷跡が発見され、今日に至っています。

最近世間では戦国武将がブームとなっており、有名な武将の話が各種メディアから聞こえてきます。
江馬氏も戦国時代には武田や上杉といった名高い武将と関わりをもっていたそうですが、残念ながら歴史の表舞台に名前が出てくる事は殆ど無いようです。
秋の日差しの中、戦国時代のお殿様がみていた庭園を眺めながら、当時の情景に思いを寄せてみるのはいかがでしょうか。

興味をもたれた方は下記連絡先へお問い合わせ下さい。
正式名称:史跡江馬氏館跡公園
所在地:飛騨市神岡町殿 TEL:0578-82-6001
開館時間:10時~16時(入館は15時30分まで)
休館日:12月1日~3月31日

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