奥飛騨だより

馬瀬川花火大会

2013年9月号

 すすきの穂が国道の沿道から少し顔を出しはじめ、秋の香りがしはじめた今日この頃。いかがお過ごしでしょうか。そんな秋がもうそこまで近づいてきておりますが、今年最後の「夏」を探しに、少し南方へ足をのばし、今回は「南飛騨からの夏」をレポートしたいと思います。飛騨に生まれ育った私ですが、今回このレポートで初めて、「馬瀬川(まぜがわ)の花火」を体験することが出来ました。
 さてここで『下呂市馬瀬』の所在地について触れておきます。三井金属ユアソフトのある飛騨市神岡町から国道41号線を名古屋方面に車を走らせること約2時間、距離にして90km、南下した場所に位置します。
昔は『岐阜県益田郡馬瀬村』という名称で、2004年3月に周辺の4つの町が合併し、現在は日本三大名湯のひとつ、『下呂温泉』で有名な下呂市馬瀬となりました。
実は高山の花火大会を既に取材しており、写真も撮っておりました。しかし、一眼レフでの花火撮影は非常に難しく、なんとも煙だけの被写体となっておりました。
なんとか花火の記事を記載したい私は、飛騨で開催される残りの花火大会の予定を探しました。そこでヒットしたのが、馬瀬川の花火大会。
ウェブ等を調べてみると、飛騨で開催される花火では『馬瀬の花火が群を抜いて良い!!』と何を見ても記載がありました。こうなってくると、いてもたってもいられなくなる私の悪い癖。

 夏バテ気味の身体もどこへやら。16時には家族3人で車を馬瀬へと走らせていました。花火は20時からの開始ですが、渋滞で、駐車場が確保できないというネットの情報を鵜呑みにし、 馬瀬へは国道41号線ではなく、高山と郡上踊りで有名な郡上八幡を結ぶ『せせらぎ街道』で行くことにしました。

  今年の夏休みは特に遠くに行っていなかった私の家族は、少しウキウキした気持ちで車窓を眺めておりました。 そこには、普段業務でディスプレイばかり眺めている私達の目をそっと癒してくれる、とても優しくて柔らかな木漏れ日、 車の窓を開ければ木の香りがスッと鼻をぬけ、リゾート高原に来たような、そんな気にさえさせられました。

 天候は雨が降ったり時折晴れたりの冴えない天気でしたが、このまま天気が持ってくれることを祈りつつ、車を走らせました。ようやく馬瀬へ到着しましたが、道草をしながら向かっていたこともあり、時計の針は18時を回っておりました。 早く着いた私達は、見物ポイントを確保し軽食の調達に出かけました。あまり食べる気がなくても、出店で商品を見ると、ついつい焼きそばやたこ焼きを手に取ってしまうのは私だけでしょうか。

 さあ、ようやく20時となり予告打ち上げ花火が上がりました。花火の音が、大地と共鳴し「ドーーン!ドーーーン!!」と2発鳴り響きました。 少し間をおいて、「シュッツ!ドドーン!ドーーン!」ととても大きな音で鳴り響き、色とりどりの花火が休む間もなく打ち上がりました。

 私達家族も只々花火に見入り、音や花火の直径の大きさや複合して打ちあがった花火の美しさに圧倒されて、会話もありませんでした。 久しぶりには花火を見上げ、夏を探しに来た私達家族3人ですが、花火に夏の終わりを告げられたような気がした、そんな夏の1ページでした。

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