奥飛騨だより

乗鞍ヒルクライム & 剣ヶ峰登山

2013年11月号

 皆様、"ヒルクライム"という言葉はご存じでしょうか。
直訳すると"Hill(丘)"+"Climb(登る)"となりますので、その名のとおり山登りなのですが、主に自転車の登坂競技(山岳レース)の事を指す事が多いようです。
日本のヒルクライムレースと言いますと、富士山で開催されるMt.富士ヒルクライムをはじめ、全国各地で多くのレースが開催されていますが、 ゴール地点の標高が一番高いのが、地元乗鞍岳を舞台とする"乗鞍スカイラインサイクルヒルクライム"です。
空に一番近いとあって自転車好きの間では聖地的な存在で、レース以外でも全国各地からヒルクライム目的の猛者が集まります。

実は本年、こちらのレースに参戦して"勇姿"?をお見せしたかったのですが、残念ながら悪天候のため中止となってしまいました。 そんな訳で今回はレースに使用されるコースと同じ秋の乗鞍岳を"マイペースヒルクライム"としてご紹介させて頂きます。写真が多くなってしまいましたが、どうぞ最後までお付き合いください。

乗鞍スカイラインは、標高1,684mの平湯峠を起点とし、標高2,702mの畳平を終点とする行程14.4km、標高差1,018mの山岳観光道路です。
2002年まではマイカーでも通行可能だったのですが、翌年より排ガス規制のため、観光用のバス、タクシーの他、自転車でしか通行出来なくなった経緯があります。 これも自転車乗りを集めてしまう要因の一つかもしれません。

本日、平湯峠ゲート前には2名の自転車乗りがいらっしゃいました。
おひとりは名古屋、おひとりは富山からいらっしゃったとの事、自転車談義をしながら朝7時のゲートオープンを待ちます。

通常、晴れていてもときには風、時には濃霧など、せっかくゲートまで来たのに登れないという事も少なくありませんが、今日は幸いにも朝7時の開門は予定どおりにOPENとなりました。
ただし山頂の気温は1℃の表示・・ 気合のみならず、準備も万全にして出発します。

乗鞍スカイライン入口

乗鞍スカイライン入口

ゲート前(山頂1℃の表示)

ゲート前(山頂1℃の表示)

 出発は「ゆっくり行きましょうね」と3名同時のスタートでしたが、きっとそれぞれのプライドがペダルを回してしまうのでしょう、1キロも登らないうちに私だけ置いてきぼり・・です。
写真を撮影していたために遅れたのもありますが、落ち込まずに一人マイペースで登ります。
しばらく走りますと、道路右に夫婦松駐車場が見えてきます。ここは全行程のだいたい1/3あたりになり、トイレもありますのでひとまず休憩です。 今日はこの標高でも雲海が広がり、とてもきれいな光景でした。

こんな道をひたすら登ります

こんな道をひたすら登ります

夫婦松駐車場の案内版

夫婦松駐車場の案内版

雲海、最高のご褒美です

雲海、最高のご褒美です

雪のせいか立ち枯れている木も多いです

雪のせいか立ち枯れている木も多いです

 さてさて登りはまだまだ続きますが、行程も2/3を過ぎると景色が一気に変わります。
森林限界と呼ばれる森林が成育しうる限界線に達したためです。(およそ標高2,500メートル付近と言われています)
こちらの森林限界を超えると通常の木々は無くなり、背の低い高山植物が地を這うように広がります。
途中、タクシーで観光にみえた夫婦が写真撮影のために道路脇を散策していらっしゃいました。
当然、こんな所を自転車で走っていますので立ち話しにもなるのですが、私の写真撮影もお願いし、運転手さんにも「もう少しやで頑張れよ」と応援され、最後の登りにも熱が入ります。

わざとらしく撮影いただきました

わざとらしく撮影いただきました

この景色ならあと少し頑張れます

この景色ならあと少し頑張れます

本年5月に登った時に撮影

本年5月に登った時に撮影

今回(10月)の景色(同じ場所とは思えません)

今回(10月)の景色(同じ場所とは思えません)

 平湯ゲートからおよそ2時間30分、ようやく乗鞍スカイライン終点の畳平に到着しました。 広い駐車場になっており、売店やレストランもあります。

畳平駐車場

畳平駐車場

畳平案内版(登山ルートが示してあります)

畳平案内版(登山ルートが示してあります)

 さてここからが私の本領(脚力)発揮、これからは乗鞍岳頂上の剣ヶ峰に向かって自分の足だけでチャレンジします。
先程のご夫婦も、私がこれから山頂に登るとは思ってもいなかったことでしょう。
無理は禁物ですが、畳平から頂上まではおよそ1時間30分、脚力に自信のある方のみチャレンジしてください。

天空の城ラピュタのような景色です

天空の城ラピュタのような景色です

登山途中(長野県側の紅葉)

登山途中(長野県側の紅葉)

 乗鞍岳山頂の「剣ヶ峰」は3,026mなのですが、畳平までバスで登れる事もあり、3,000m級の山としては異例の初心者でも登れる山として知られています。
本日も下は小学校低学年、上は70才を超えるであろう山ガールもいらっしゃいました。
自分が子供のころは普通のスニーカーにジーンズといった方が多かったように思いますが、最近は皆さん装備をしっかりとされていますね。
登山中の声掛け(単に挨拶だけでなく、健康状態の相互確認、危険箇所の情報共有などいろんな意味があるそうです)も皆さんからよくしていただきました。

左上:現在閉鎖中の乗鞍コロナ観測所

左上:現在閉鎖中の乗鞍コロナ観測所

右上:剣ヶ峰(頂上)

右上:剣ヶ峰(頂上)

頂上小屋から下を眺める

頂上小屋から下を眺める

頂上小屋:実際は頂上少し手前です

頂上小屋:実際は頂上少し手前です

山頂剣ヶ峰、乗鞍本宮

山頂剣ヶ峰、乗鞍本宮

山頂、剣ヶ峰より望む

山頂、剣ヶ峰より望む

 頂上まで辿り着いて景色も満喫し、あとは下山のみ。
実は一番危険なのが下山なので、歩きでも自転車でも十分注意して帰りました。
今回の奥飛騨だよりが掲載される頃には残念ながらシーズン終了となっておりますが、ご興味あるかたは来季、乗鞍登山を計画されては如何でしょうか。 (皆さんと出会える日を楽しみにしています。見かけたら是非声援を送ってください。)


高山観光情報
URL:http://www.hida.jp/norikura/

濃飛バス(乗鞍線)
URL:http://www.nouhibus.co.jp/new/norikurabus.html

乗鞍スカイラインサイクルヒルクライム
URL:http://www.gifu-np.co.jp/hillclimb/

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