ゲームの世界に重力を?神岡で見たIT教育
2020年2月号
日本が世界に誇る実験施設「スーパーカミオカンデ」があるまち、飛騨市神岡町。
その実験で重要となるのが、運動力学や素粒子力学によるシミュレーションだそうです。
なんだか、むつかしそうな話だと感じますが、
それをわかりやすく教えてくださるのが、同じく飛騨市神岡町にあるカミオカラボです。
テーマはミニゲームの作成。
主人公のキャラクタに対して、左右に進む、重力を適用させる、ジャンプさせる、敵キャラが現れるなどのプログラムを作成するそうです。
教室ではMIT(マサチューセッツ工科大学)が教育用に開発した言語であるスクラッチが使用されていました。
一般的なシステム開発で実際に用いられる言語に近い要素を有していながら、
非常にわかりやすい図形で表現されています。
子供たちはこのスクラッチを使って、わずか1時間でミニゲームの開発をしていました。
本当に理解が早いと感心させられました。
プログラミング教室の内容の一つに、ゲームの世界の重力を設定するといステップがありました。
ステージの緑色の部分を<地面>、主人公の足元の赤色の部分を<靴>として、ステージ上で緑と赤が重なった場合を地面に接地していると定義していました。
この条件を満たしていない時は、宙に浮いているので画面下方向に移動する(落ちる)ようにプログラミングをします。
このゲームの世界に重力を定義するという技術は、応用して物理実験のシミュレーションの場でも使用されているようです!
参加していた小学生からは、
・ボールではなく、キックで敵を倒せるようにしたい
・ステージを広くしたい
など、すでに次の構想を考えているような感想が聞かれました。
保護者の方は、
・今の子供はパソコンに抵抗がないので呑み込みが早い
・今は理解というより感覚的にやっている気がする
・今度は自分で考えたものを作れるようになってくれれば
など、多様な意見がある中でも、教育の中でプログラミングを活用したいという考えは共通しているように感じました。
講師の方は、「今の大人が子供のころに図工として好きなものを作っていたのに対して、
今の子供はプログラミングという手段で好きなものを作れる。これを活用して自分で考えたものを作り出せるように成長してほしい」とお話しされていました。
カミオカンデという最先端の実験施設があるまち神岡では、それを身近に体験できるカミオカラボを通じて地域の子供たちが学び成長するという、
この地域ならではの教育の形が作られ始めているように感じました。
なお、今回のプログラミング教室は既に満員とのことですが、引き続き様々なイベントを実施されるとのことですので、
今後もカミオカラボから目が離せません!
(参照)
カミオカラボ:https://www.city.hida.gifu.jp/site/kamiokalab/