奥飛騨だより

飛騨の絶景ダム巡り

2020年8月号

7月初めの豪雨により、こちら飛騨では各地で土砂くずれが発生し河川氾濫等の被害を受けました。皆様のお近くは大丈夫でしたでしょうか?
会社周辺は被害がありませんでしたが、一部の幹線道路では路面が崩落し、今も通行不能の状態が続いております。
今月の奥飛騨だよりは、今回のような水害の防止にもひと役かっている、飛騨周辺のお勧めのダムをご紹介いたします。

崩落した道路

崩落した道路

復旧中の土砂崩れ現場

復旧中の土砂崩れ現場

ダムは2000年以降、テレビや雑誌でも取り上げられることが多くなり、ダムの見学会が各地で行われるようになったりと人気の観光スポットになっています。
また、「ダムカード」という、ダム見学を行った際に現地でもらえるカードが全国で800か所以上あり、それも人気につながっているようです。
飛騨は森林率が9割を超える山国であり、急峻な地形と豊富な水量に恵まれているせいか大きなダムが数多く存在しています。

その中で、最初にご紹介するのは、飛騨でもっとも有名といえる「御母衣(みぼろ)ダム」です。高さ131m、幅 405m、総貯水量3億7000万立方メートルもある、総貯水量では日本第5位となる大規模ダムです。世界遺産合掌造りで有名な白川郷と高山市にまたがる場所にあり、発電目的で建設されました。

ロックフィルが美しい

ロックフィルが美しい

間近でみる堤防

間近でみる堤防

このダムの一番の魅力は、なんといっても堤体(堤防部分)の美しさです。岩石や土砂を積み上げて建設する「ロックフィルダム」という形式を採用しており、石が積まれた姿は遠くからみると城郭のようにきれいに見えます。天端(堤防の一番上)の部分も歩くことができ、石が積まれた様子を間近で見ることができます。無骨なコンクリート造りではなく岩石でできたダムは周りの風景とも調和し自然的な美しさがあります。天端から湖面を眺めると、両側から山が迫り、その間に水が満ちている姿がまた美しいです。

堤防上部の遊歩道

堤防上部の遊歩道

両側から迫る山と湖面

両側から迫る山と湖面

次にご紹介するのは、「丹生川(にゅうかわ)ダム」です。
本社のある飛騨市のお隣、高山市丹生川町にあるダムで、洪水被害の防止や農業用水・水道用水の確保などを目的として建設されました。
2012年に完成した比較的新しいダムで、高さ69.5m、幅227m、総貯水量620万立方メートルとそこまで大きくはないダムですが、景観と調和したダムのデザインが評価されてグッドデザイン賞を受賞したダムでもあります。

重力式ダムの重量感は圧巻

重力式ダムの重量感は圧巻

コンクリートによる傾斜も美しい

コンクリートによる傾斜も美しい

このダムの魅力はコンクリートの迫力と、ダム周辺の自然の美しさです。
「重力式コンクリートダム」という形式で建設されており、大量のコンクリートを利用してその自重で蓄えられた水の水圧に耐える仕組みのダムです。
ダムを間近に見上げられるところまで行けるのですが、そこから眺めると、新しいダムということもありコンクリートがとてもきれいで、そびえたつ姿は重量感があり迫力があります。
ダムの上流には、木地屋渓谷というとてもきれいな渓谷があります。山も川もきれいなこの景観をなるべく壊さないように建設されたダムであり、ダムだけでなく大自然も感じられるお勧めのスポットです。

木地屋渓谷はとてもきれい

木地屋渓谷はとてもきれい

自然に溶け込んだダム

自然に溶け込んだダム

最後にご紹介するのは、「奈川度(ながわど)ダム」です。
長野県側から飛騨に入る国道158号線上にあるダムで、ダムの天端が国道になっている珍しいダムです。高さ155m、 幅355.5m、総貯水量1億2300万立方メートルある発電用のダムです。

ダム上部を国道が走ります

ダム上部を国道が走ります

アーチが美しい

アーチが美しい

このダムの魅力は、堤防部分がアーチ上のコンクリートでできた曲面の美しさです。「アーチ式コンクリートダム」という方式で建設されたダムで、重力式ダムと比べて、コンクリートの使用量を少なくできるメリットがあります。アーチ型にすることで、蓄えられた水の水圧を両端に分散させるという仕組みなのですが、そのため両端の岩盤が非常に強固な場所でしか建設できないという条件があります。高さはアーチ式コンクリートダムとしては日本第3位となるダムで、下を眺めるとその高さが実感できます。アーチ型の巨大な壁面がものすごい水圧に耐えている姿を想像すると、頑張って耐えてくれてありがとう!という気持ちが沸き上がってきます。

高さ155メートル

高さ155メートル

ダムカードをゲット

ダムカードをゲット

取材の最後に、近くのドライブインによって「ダムカード」をもらってきました。ダムカードの配布場所はそれぞれ決められており、実際にダムに行った証明となる写真を提示すると入手できます。コロナ渦が終息したら、他のダムカードも集めてみたいと思いました。

今回、ダムを取材して感じましたが、山深い大自然の中に巨大建造物がそびえる姿はとても迫力があり、よくこんな場所に作ったなと人間の叡智を感じざるを得ませんでした。
今の時期は外出も限られており遠くには行けないと思いますが、皆様もお近くにあるダムを探してみてはいかがでしょうか。

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