妖怪「クタベ」
2021年1月号
新年明けましておめでとうございます。コロナで今まではとは違う年越しになったかと思いますが、お元気でお過ごしでしょうか。
今年最初の奥飛騨便りは、妖怪「クタベ」について紹介させて頂きます。
コロナで有名になった妖怪に「アマビエ」がいます。
「アマビエ」のほかにも疫病退散を行う妖怪がいますが、富山県には「クタベ」が存在します。
「クタベ」は、顔が人で体が獣の疫病流行の予言を告げる予言獣です。
言い伝えによると、立山に薬種(薬となる原料)を掘りに来た者に「4、5年の内に原因不明の難病が流行するが、我が姿を見た者はその難を逃れられる。」と告げたといいます。
その絵を見る者も疫病の難をのがれ、助かることができるとされ、絵を描いて張り置く人も多かったようです。
立山町芦峅寺にある立山博物館では2019年の夏頃に、この「クタベ」を紹介し始めました。
12月頃に、そろそろ展示品を片付けようとしたところで、コロナが流行し始め「クタベ」がコロナを予言していたのではと学芸員から説明をして貰いました。
立山博物館に飾られている「クタベ」は大正11年に出版された「奇態流行史(きたいりゅうこうし)」の書籍の絵を基に制作されたものであり、
書籍の絵とそっくりに造られています。「奇態流行史」は国立国会図書館デジタルコレクションで、誰でも閲覧することが出来ます。
1階のミュージアムショップでは、「クタベ」のグッズが置いてありました。
そこではTシャツや缶バッチ、エコバッグなどの「クタベ」グッズが販売されており、缶バッチなどは、一時期は人気で売り切れをしたとのことです。
また近くには、クタベ像が置いてあります。
微妙な顔をしていますが、ずっと見ていると意外に慣れてきて可愛くも思えてきました。
立山博物館の近くに「閻魔堂(えんまどう)」がありますが、そこにも「クタベ」の絵が置いてあり、販売しておりました。
そこにある「クタベ」は立山博物館にある「クタベ」とは違い、顔の部分が愛嬌のあるものではなくリアルなものでした。
怖い顔の方がご利益ありそうで、1枚購入していきました。
立山というと、雪の大谷や登山などがよく目につきますが、その麓ではこのような博物館があり、また妖怪などがおります。
コロナがまだまだ収まる気配がなく皆様大変かと思いますが、「アマビエ」だけではなく「クタベ」も見て、
妖怪を身近に感じながら疫病除けを願い、過ごされては如何でしょうか。
■国立国会図書館デジタルコレクション(41頁)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/927420?contentNo=41
■立山博物館
http://www.pref.toyama.jp/branches/3043/home.html