PCB廃棄物

三池製錬の低濃度PCB廃棄物の無害化処理

三池製錬株式会社(福岡県大牟田市)は非鉄製錬の技術を活かし、低濃度PCB廃棄物中の鉛や亜鉛などの重金属を再資源化・無害化します。

PCB(ポリ塩化ビフェニル)について

PCB廃棄物は定められた期間までに処分しなければなりません。
低濃度PCB廃棄物の処分は2027年3月31日までとなっているため、期限内での処分が必要となります。

用途

  • 絶縁油

    トランス、コンデンサ

  • 熱媒体

    工業用加熱冷却

  • 潤滑油

    高温用潤滑油、作動油、真空ポンプ​

  • 可塑剤

    絶縁テープ、樹脂、ゴム​

  • 塗料、インキ

    耐蝕性塗料、耐薬品性塗料、耐水塗料​

  • 複写紙

    ノーカーボン紙​

PCB問題の背景

ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、絶縁性(電気を通しにくい)、不燃性(燃えにくい)などに優れた特性を有することから、トランスコンデンサといった電気機器をはじめ幅広い用途に使用されましたが、昭和43年にカネミ油症事件が発生して、その毒性が社会問題化し、昭和47年にPCBの製造は止められました。

  • 1881年 ドイツで合成された
  • 1929年 米国で工業生産開始
  • 1954年 日本で製造開始
  • 1968年 「カネミ油症事件」で公害発生(皮膚障害、頭痛、肝機能障害等)
  • 1973年 化審法制定し、製造・輸入・使用原則禁止
  • 2001年 ストックホルム条約採択(国際法)
    2028年(H39)までに廃絶
    PCB特措法制定(国内法)
  • 2002年 大牟田亜鉛製錬所創業から100年
  • 2014年 PCB廃棄物処理基本計画の変更
  • 2019年 無害化処理認定施設等の処理対象となるPCB廃棄物の拡大に係る関係法令等が改正。
    PCB濃度100,000㎎/kg以下の可燃性のPCB廃棄物が低濃度廃棄物となる。
  • 2027年 PCB特別措置法による、PCB廃棄物の処理期限(2027年3月31日)

PCB廃棄物の分類

PCB廃棄物は、PCB濃度により高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物に分類されます。

PCB無害化処理施設では認定内容により処理できるPCB濃度範囲が異なります。

三池製錬は、焼焼性汚染物0.5<~100,000mg/kgと幅広い範囲で無害化処理可能です。

低濃度PCB無害化処理施設認定内容

処理対象

  • 法令上の区分

    • ・低濃度PCB汚染物
    • ・低濃度PCB処理物
  • 低濃度PCB廃棄物

    • ・汚泥
    • ・木くず
    • ・金属くず
    • ・紙くず
    • ・繊維くず
    • ・廃プラスチック類

処理方法 焼却無害化(MF炉)

PCB濃度 燃焼温度 滞留時間 処理能力
0.5<PCB≦5,000(㎎/㎏) 850℃以上 2秒以上 30t/日(1.3t/時)
(廃棄物処理量の7%)
5,000<PCB≦100,000(㎎/㎏) 1,100℃以上 2秒以上 9t/日
※上段30t/日の内数

低濃度PCB廃棄物の処理能力は30 t/日であり、その他廃棄物(製鋼煙灰、溶融飛灰、汚泥類)との混焼能力は441 t/日を計画しています。

処理対象物

三池製錬で処理できる代表的な低濃度PCB廃棄物です。その他、低濃度廃棄物に関しても処理可能なものもございますので、お問い合わせください。

主たる廃棄物

  • 塗膜くず

  • 汚泥

  • 廃感圧紙

  • 廃シーリング材

作業過程で発生する廃棄物

  • 防護服

  • 養成シート

  • マスク

  • 保護手袋

荷姿

  • ドラム缶

  • ペール缶

  • 樹脂製容器(角形)

  • 樹脂製容器(丸形)

処理フロー

  • 1計量

    搬入された廃棄物を、三池製錬にて計量します。

  • 2倉庫搬入

    ドラム缶や樹脂製の専用容器で完全密封し、倉庫に運びこまれます。

  • 3荷卸し

    ドラム缶に入ったまま、外部と遮断した詰替え室に運び込まれます。

  • 4保管

    汚染防止のため、床に不浸透剤を塗布し環境対策を行っています。

  • 5詰替え

    樹脂製の密封容器に移し替えます。

  • 6ドラム缶粉砕

    運搬に使用されたドラム缶は、特殊機械で破砕します。

  • 7破砕くず封入

    特殊機械で破砕されたドラム缶は、容器に移し替えます。

  • 8投入

    密閉した容器をコンベアに投入します。

  • 9処理

    容器はMF炉で溶融され、PCBは無害化、亜鉛・鉛などは再資源化処理されます。

処理フロー概要図

廃棄物処理手順

  • お問い合わせ

    処理する対象物、数量、含有成分分析結果などを事前にご教示ください。
    三池製錬にて処理可能か判断いたします。この時点で、概算見積りも提出可能です。

  • 現物確認・事前申込

    荷姿、保管状況など現物の確認を行います。当社管轄自治体は、産廃の事前協議は不要です。

  • 見積もり

    現物確認後、正式な見積もりを提示いたします。

  • 処理委託・契約締結

    排出元と三池製錬にて処理契約書を締結いたします。
    ※法定必要記載事項(下記参照)

  • 収集運搬委託・契約締結

    排出元と収集運搬会社にて契約書を締結いたします。
    PCBを収集運搬できる会社をご存じない場合には、ご紹介することも可能です。

  • 搬出

    収集日を決定し、現場から低濃度PCB廃棄物を搬出いたします。

  • 処理

    MF炉にて焼却処理を行います。処理完了後、マニフェストを返却いたします。

契約書記載必要事項

  • 1.

    委託する(特別管理)産業廃棄物の種類及び数量

  • 2.

    委託契約の有効期間

  • 3.

    委託者が受託者に支払う料金

  • 4.

    受託者の事業範囲

  • 5.
    委託者の有する適正処理の為に必要な事項に関する情報
    • ア.

      当該(特別管理)産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項

    • イ.

      通常の保管状況の下での腐敗、揮発等当該(特別管理)産業廃棄物の性状の変化に関する事項

    • ウ.

      他の廃棄物との混合等により生ずる支障に関する事項

    • エ.

      日本工業規格C0590号に規定する含有マークが付された廃製品の場合には、含有マーク表示に関する事項

    • オ.

      石綿含有廃棄物又は特定産業廃棄物が含まれる場合にはその事項

    • カ.

      その他(特別管理)産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項

  • 6.

    委託契約の有効期間中に当該産業廃棄物に係る性状等の情報に変更があった場合の当該情報伝達に関する事項

  • 7.

    受託業務終了時の受託者の委託者への報告に関する事項

  • 8.

    契約を解除した場合の処理されない(特別管理)産業廃棄物の取扱いに関する事項

  • 9.

    許可を受けて輸入された廃棄物を取り扱う場合には、その旨

  • 10.

    処理施設の所在地、処分又は再生の方法及び処理能力

  • 11.

    最終処分の場所の所在地、最終処分の方法及び処理能力

PCB無害化処理認定証

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第15条の4の4第1項に基づき、低濃度PCB廃棄物処理施設として環境大臣認定を受けました。