奥飛騨だより

厳冬の催し

2008.3月号

 耳も痛くなるような厳冬の最中、飛騨市神岡町では「クリスタルキャンドルTOWN」、「初金毘羅宵祭」の二つの催しがとりおこなわれました。
今月はその模様をお伝えいたします。

 クリスタルキャンドルTOWNの様子です。その名の通り、キャンドルの灯りで町を満たそう、という趣向のちょっぴり素敵な催しです。 キャンドルは氷の器で護られ、静かに時を刻んでいます。ひとつひとつは頼りない淡い灯りですが、このように沢山並ぶ姿は、雪の白さと相まって、なかなか見応えがあります。どこかから賛美歌が聞こえてきそうな気さえしませんか?
写真の場所以外にも、町の隅々に至るまでキャンドルが配されていました。

 歴史ある神岡の町並みと、キャンドルのやさしい灯りは夜によく馴染みます。もともと街路灯の数はそう多くはない町ですが、もしかしてこの日のために? と思えるほどです。
 キャンドルを間近で存分に楽しまれたら、足を外に向けて、少し離れた場所から町を俯瞰してみるのも興味深い試みかもしれません。灯りに満たされた市街と、少しでも目線を外すと飛び込んでくる夜の闇、そのコントラストに神岡の町の息づかいが感じられるのではないでしょうか。

 クリスタルキャンドルTOWNと同日開催されたのが、初金毘羅宵祭です。前者が「静」の催しであるのに対して、こちらは「動」と言い表すのが適当なように思われます。
 半世紀以上の歴史を持ち、その根底には、商売繁盛・家内安全を願う心が流れているそうです。しかし、そのような背景を知らずとも、どなたでも楽しめる、とにかく威勢の良い、活気に満ちた祭りです。祭り会場に近づくほど増える人の数にも、その予感があります。

 讃岐の金毘羅宮のお札が掲げられた山車を先頭にして、祭りは厳かに始まりを迎えます。山車のあとには、火消しの法被に身を包んだ人々の行列が続き、見物人で溢れる道を闊歩していきます。
 さらにそのあとには、各団体手作りのオリジナル山車とそれに追随する行列が、独創的なパフォーマンスをまじえながら目の前を通っていきます。そしてこれこそが、この初金毘羅宵祭最大の魅力と言えると思います。是非、直にご覧になることをお勧めいたします。

 三月に入り、いよいよ春が近づいているように感じられます。植物が雪の合間から顔をだして徐々にその存在感を増し、対照的に雪は姿を消していくことでしょう。うれしい反面、少し寂しいですね。

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