奥飛騨だより

梅雨入り(2008.7月号)

2008年7月号

5月も終わりにさしかかると、次第に湿った日が多くなり、まもなく気象庁から恒例の梅雨入りが発表されました。 梅雨といえば、雨の不快なイメージがありますが、飛騨地方では実はそれほどでもありません。 傘を片手に「ちょっと軒先を散歩しようかな」という日もあるくらいです。

写真はせせらぎ街道(高山市清見町)近くのとあるラベンダー畑です。
ラベンダーといえば、北海道の富良野と言うイメージが強いですが、 寒冷な土地を持つ飛騨地方でも生産されています。 こちらの畑では6月中旬頃から開花し、今がちょうど見頃。絨毯のように広がる薄紫の花々に、 残雪の残る遠方の山が景色の良いアクセントになっています。 風が吹けばラベンダーの香りが辺りに流れ出し、癒しの空間を演出してくれます。

雨上がりの澄んだ空気はとてもすがすがしいものです。
辺りを見渡せば、枝葉からは水滴が滴り落ち、草花の色彩も一層深みを増しています。 普段は何気なく通りすぎる道端の花も、その魅力にハッとさせられます。
この時期、代表的な花はやはりアジサイですがこうして別の花を観察するのもまた一興です。
いつもと違う視点での発見は、ほんの少しことでも心が躍ります。

梅雨独特の光景は、何も植物に限られたことではありません。
この時期、河川付近ではカワトンボが飛び交います。 時折、羽を休めるため岩や木の枝、ときには釣り人の肩や背中とまることもあります。
ちょうど左の写真がその様子ですが、この姿からは想像できないほど、その飛び方は独特です。 秋口によく見かける「赤トンボ」のように俊敏な動作ではなく、 4枚の羽を器用に使い、まるで空中を泳ぐように飛ぶのが特徴です。

写真は5月上旬に生まれたツバメの雛です。親ツバメが餌を運んでくるのをとても行儀よく並んで待ち構えています。 家の軒下にこのようなツバメの巣が出来ているご家庭もあるのではないでしょうか。 親ツバメがせっせと餌を運んでくるたびに、我先に口を開けて餌を求めて鳴く様は、なんともほほえましい光景です。
もはや親鳥と見間違えるほど立派に成長した雛ですが、巣立ちにはもうしばらく時間がかかるようです。 いずれ遠くへ旅立っていくことは間違いありません。それを思うとさびしい気分になります。


梅雨の合間からも、本格的な夏の気配がひしひしと近づくのを感じます。 夏が近づくと不思議と気分が高揚しますね。 7月には川辺や田園を舞うホタルの姿が数多く見られます。 これは写真に収めるのは難しいですから、実際に目で楽しまれるのが一番です。

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