奥飛騨だより

夏色々(2008.8月号)

2008年8月号

気温はぐんぐん上昇し、いよいよ夏本番の7月。外を出歩くときには、ちょっとした木陰でさえ有り難いです。町中では風鈴が吊るされ、また打ち水を行う人の姿もいたるところで散見されます。どうやら暑さ対策は万全のようです。

この時期、三井金属ユアソフト本社社屋の白壁には昆虫達が集まりだします。大抵は蛾や羽蟻などあまり歓迎したくないものが多いのですが、時折それらに混じりカブトムシ・クワガタなどの人気者が顔を出すことがあります。
写真はそんな縁で知り合ったノコギリクワガタです。せっかくですので写真撮影に協力してもらいました。背景が白壁では味気がありませんから、本社の周りのツツジに場所を移し、やや作為的に撮影してみました。自慢の大顎の曲線が美しいです。子供達が夢中になるのも納得、といったところでしょうか。

カブトムシを探して木々を観察していると、黄色く熟した梅の実が成っているのを発見しました。草木の地面には既に落下している実が多く、枝にぶら下がっているものの方が少ないように見受けられます。一番近い実でも撮影するには少し遠く、手持ちのカメラではちょうど夜空の月と同程度のサイズになってしまいました。ちょうど色も月によく似ています。
赤くて酸っぱい梅干と違い、この黄色い実はほんのりと甘い、桃に似た香りを放ちます。うっかり食べてしまいそうになりますが、そのままでは毒性があるとのことです。

梅の木の近くに、栗の木を発見しました。毬のワンポイントで、これが栗の木だと気付くことができました。それがなければ、おそらく簡単に見逃していたと思います。そのくらい、辺りには樹木が生い茂っています。
ぼんやりと全景を眺めていると、見逃してしまうものは意外と多いように感じます。よくよく見れば樹皮の様子や葉の形状などは木によって様々ですし、同じ種類の木でも場所や環境によって成長の度合いが違うことも判ります。視線を落とせば、地面にも何か手がかりが見つかるかもしれません。

緑色の写真ばかり続きましたので、唐突に飛騨市神岡町を流れる高原川を写してみました。小さくて分り難いですが、右下には幾人かの釣り人が写っています。この方達は、6月号でも触れました、鮎の「友釣り」をされているようです。釣り竿を操る動作がゆったりしてるのが特徴的です。
写真の場所の左右には市街地が広がっており、川沿いの道路や旅館などから釣り人の姿を見ることができます。日がな一日釣果を見守る仙人のような方がいらっしゃるかも、と想像させる雰囲気が、神岡の町には漂っています。

8月には夏の催しが各地で開催されます。中でも花火大会はお勧めで、規模自体は小さいものの、古い町並みを背景にした花火は格別です。長くはない飛騨の夏を謳歌するにはうってつけの機会。是非足をお運びいただければ、と思います。

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