有峰(富山県立自然公園)での散策
2012年11月号
10月ともなると秋も深まり日に日に朝晩の冷え込みも厳しくなってきました。 冬がもうそこまできているようです。 今回の奥飛騨だよりは秋を見つけに有峰(富山県立自然公園)の猪根山(いのねやま)遊歩道を散策してきた様子を紹介いたします。
ススキと秋空
有峰ダム
有峰は富山県富山市の南東部に位置し、豊かな森林に囲まれた標高1,000mにある地域です。 1973年には県立自然公園に指定されており、三井金属ユアソフトのある神岡町からは車で約1時間30分程の場所にあります。 この有峰にはもともと急峻なV字型の谷が多く、谷を堰きとめて作られた有峰ダムがあります。 このダムは景観の美しさからダム湖百選に選ばれています。
鮮やかに色付いた紅葉
有峰の紅葉はその標高の高さから、早い年で10月上旬には紅葉が始まります。 取材に行ったのは10月中旬だったのですが、赤く色付いたもみじが散在していました。 11月上旬には雪が降り1月ともなると気温は-20℃以下、積雪は4mを超えるそうです。
とても苛酷な環境に思えますが、大正9年の富山県によるダム建設が始まるまではこの地域に人が住んでいたというのですから驚きです。 ダム周辺にある有峰記念館や有峰ビジターセンターでは当時住んでいた人々の暮らしや、ダム建設当時の映像などから有峰について知ることができます。
当時の暮らしの様子
樹木名当てクイズ
さて、いよいよ秋を探しに散策の開始です。 有峰にはいくつか遊歩道があり、比較的簡単な遊歩道を選んだはずなのですが、勾配がきつくすぐに息が上がりました。 息を切らしながら遊歩道を登っていくと立て看板のようなものが出てきました。 これは遊歩道の所々に設置してある「樹木名当てクイズ」です。 木の特徴や観察ポイントが記載されているのですが、残念ながらほとんどの木の名前を当てる事はできませんでした。 クイズは約50個あり楽しく散策することが出来ます。
小一時間歩いたところでようやく見晴らしの良い展望台に到着です。 展望台から見る有峰ダムの景色は、ちょっとした達成感が得られ、この絶景が疲れを少し癒してくれた気がします。
展望台からの風景
さて、散策を終え帰路の途中で、道路を横断するツキノワグマの親子連れに遭遇しました。 冬篭りに備えて餌を求め活発に活動しているのか、母熊は先に横断してしまいました。 小熊はというと、こちらを警戒しているのか中々草むらから出てきません。 しばらくキョロキョロと様子を伺った後、母熊において行かれまいとトコトコと走っていく姿はとても微笑ましい光景でした。
周囲の様子を伺う小熊
おいてかないで
有峰の紅葉は10月下旬には見ごろを終えすぐに冬が来てしまうそうです。皆さんも身近な秋を探しに散策などされてはいかがでしょうか。