奥飛騨だより

防火の神様(2013.2月号)

2013年2月号

今回は「飛騨の小京都」と称される岐阜県高山市のあちこちで見られる防火の神様についてご紹介します。

右の写真が、その防火の神様、秋葉様です。高山市内には秋葉様と呼ばれる小さなやしろが60ほどあり、人々は防火の神様として崇敬しています。 昔、高山市内で町が全滅するほどの火災を含めて100戸以上の家屋が焼ける火災が10数回もありましたが、不思議と秋葉様だけは被害をまぬがれたため、 高山の人々は秋葉様を防火の神として信仰しているそうです。

秋葉様に近づいてみると、左の写真のように「飛騨高山冬の旅 秋葉様めぐり」とかかれたスタンプを見つけることができます。

高山市では毎年12月~翌年3月末まで、秋葉様巡りのスタンプラリーが開催されています。 高山市内の秋葉様を巡り15カ所のスタンプを集めると、抽選で記念品が当たるイベントとなっています。 市内で見かけるお社のほとんどが秋葉様だそうで、意外と簡単に集まってしまうかもしれません。

右の写真は、1月10日に秋葉様の摂社のある桜山八幡宮で催された防火祈願祭の様子です。 元々、秋葉神社は独立した神社だったそうですが、明治42年に桜山八幡宮の境内に移動したそうです。

防火祈願祭では、鎮火の神事が行われます。地元の方々が見守る中、火打石からおこした炎へ土と川草がかけられ、ひょうたんに入った水で炎が鎮められてゆきます。

左は防火祈願祭で神前に飾られた江戸時代の火消組のマトイ(組の旗印)です。 普段は、「飛騨高山まちの博物館」に保管されており、 毎年防火祈願祭になると桜山八幡宮の神前に飾られます。

この防火祈願祭は町の消防組織とも縁が深く、市内の消防関係の方々が出席してみえました。 私も地元の消防団に所属していますので、秋葉様の御心が荒れないよう、深くお祈りさせていただきました。

神前の式典は写真撮影ができないため、残念ながら様子をお見せすることはできませんが、厳かに浄化の炎が焚かれる様子は圧巻です。

防火祈願祭の後は、日本全国の秋葉神社の総本山である静岡県浜松市の秋葉山本宮秋葉神社へお参りする代参者の抽選があります。

右の写真は、副賞となっている飛騨高山の名産「飛騨一位一刀彫」の干支です。 イチイの木目が映える、素晴らしい一品でした。残念ながら私は当選しませんでしたが、記念に写真を撮らせてもらいました。

飛騨高山に今も木造の古い街並みが残り続けているのは、地元の人々の防災意識の高さによるものかもしれません。 科学の発展により防災の設備は日々進歩していますが、今年も防災の心構えを新たにし、災害のない年としたいものです。

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