奥飛騨だより

GSA 2014 神岡鉱山~スーパーカミオカンデ見学

2014年8月号

お盆を故郷で過ごすのが楽しみなころとなりました。皆様如何お過ごしでしょうか。
今月は、本社のある飛騨市神岡町にて毎夏開催されている、神岡鉱山の坑内を巡るツアーイベント、ジオ・スペース・アドベンチャー(GSA)の模様を紹介します。
小柴昌俊東京大学特別栄誉教授がノーベル賞を受賞されたニュートリノ観測装置である、スーパーカミオカンデの見学が含まれた、抽選制の人気イベントです。

2014年のGSAは、2日間にわたって開催されました。朝7時から、1時間おきに1日8便運行されました。私は、初日の第2便に参加しました。
当日朝8時、冬の上着と懐中電灯を持参し、集合場所の神岡振興事務所前へ。1人1つの懐中電灯は、法律で義務付けられています。 集合場所ではGSAのロゴ入りライトの販売がありましたので、万が一忘れても大丈夫でした。受付を済ませ、ヘルメットを受け取り、バスに乗って出発です。

神岡振興事務所前の様子

神岡振興事務所前の様子

坑内入口

坑内入口

ツアーコンダクターさんの楽しいオリエンテーションと共にバスは進みます。通り慣れた国道も、まるで初めて訪れたような景色に映るのが不思議です。
GSAは地元の有志でつくる実行委員会が企画しており、このツアーコンダクターさんをはじめ、ほとんどがボランティアスタッフだそうです。昨年は三井金属ユアソフトからも3名がボランティアに参加しました。

バスは15分ほどで坑内入口に到着しました。坑内には一般向けのお手洗いがないので、ここでトイレ休憩をとります。 みんなバスを降りて、思い思いに記念撮影を始めます。坑内から吹いてくる風は驚くほど冷たく、子ども達は「息が白い」と言い大騒ぎで上着を着込んでいました。再度バスに乗車、いざ坑内へ。

ツアー開始

ツアー開始

鉱山の歴史のスライド

鉱山の歴史のスライド

5分ほど走り、ツアー開始地点で下車すると、ひんやりしてとても寒かったです。気温は年間を通して13~14度。 子供たちは初めての体験に「友達に自慢しよう!」と大興奮です。暗い坑内を、懐中電灯片手に歩き出します。足元はでこぼこして、水たまりもあるので、気をつけて進みます。

江戸時代の採掘:赤ふん

江戸時代の採掘:赤ふん

現代の採掘:重機

現代の採掘:重機

神岡鉱山の歴史を紹介したスライドショーを見ました。奈良から始まった採掘のスタイルは時代とともに変化した・・ということで、寸劇を織り交ぜた実演がありました。 奈良時代はふんどし姿で採掘をしていたそうですが本当でしょうか。少しも寒くないわというのは本当でしょうか。聞けばこちらもボランティアスタッフだそうです。 重機の実演もあり、インディージョーンズさながらの大迫力でした。
写真は壁に穴をあける重機です。細い穴を掘ったあと水を噴出させ洗浄し、ダイナマイトをセットするそうです。撮影タイムでは運転席にのぼるのもOKでした。

ここからまた少し坑内を歩き、スーパーカミオカンデへ向かいます。途中一斉に懐中電灯を消し、暗黒体験をしました。 自分の手のひらすら全く見えません。怖いです。カップルでいらしたなら、吊り橋効果が期待できそうです。

スリッパに履き替える

スリッパに履き替える

実験区域内

実験区域内

いよいよ、スーパーカミオカンデ見学です。見学といっても実験装置は稼働中のため、あの有名な電子管の並ぶ姿を見ることはできないのですが、実験装置の真上まで立ち入ることができます。
ここは坑内入口から1キロ、池ノ山山頂から地下方向に1キロの地点になります。見学者の真下には、直径・高さ共に約40mのスーパーカミオカンデがあり、5万トンの超純水が貯められています。 こうしている間も、私たちの身体をニュートリノが通り抜けて行っていると教えて頂きます。研究所の雰囲気を存分に味わい、宇宙のロマンを感じるひと時です。

スーパーカミオカンデのドーム状の天井

スーパーカミオカンデのドーム状の天井

ドアに書き込まれたメッセージ

ドアに書き込まれたメッセージ

研究所のドアには歴代首相や毛利衛宇宙飛行士など著名人のメッセージが。もちろん小柴教授も。 ちなみに、毛利さんが館長をしているお台場の日本科学未来館には、スーパーカミオカンデの10分の1模型の展示があります。

見学後は実験区域までバスが来ており、そのまま神岡振興事務所へ戻りました。年配の見学者もいらしたので、ありがたい配慮だと思いました。

宇宙素粒子研究施設群

宇宙素粒子研究施設群

神岡鉱業(株)展示

神岡鉱業(株)展示

実は、私は小学生のころにも坑内見学をしていますが、当時はスーパーカミオカンデの前身の「カミオカンデ」の見学でした。 入り口も異なり、スーパーカミオカンデは跡津坑口からバスで入れますが、カミオカンデは、茂住坑口からトロッコを使いアクセスしていました。 現在、カミオカンデの跡地では「カムランド」という東北大学の観測装置が稼働中です。 また、2017年の観測開始を目指す新施設「KAGRA(かぐら)」も建設中で、先般、直線3kmのトンネルをL字状に2本、掘削し終わった所だそうです。 どんなに環境が整っていても、施設を作るためには掘削する技術と道具が必要です。それが神岡鉱山に施設が集まる所以だということでした。

神岡振興事務所に到着後は、公民館ホールにてカムランドのセミナーを聞き、浜松ホトニクス(株)と神岡鉱業(株)の展示を見て解散しました。 ちょうどお昼どきで、子どもたちにフランクフルトをせがまれ、宇宙のロマンもどこへやら・・。

出発から解散まで約3時間半、坑内の滞在時間は2時間程でした。ツアー内容、物品販売は、年によって多少変化があるようです。 みなさんもぜひ当ツアーの抽選に応募されてみてはいかがでしょうか。

GSA

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