奥飛騨だより

飛騨高山の”みそ買い橋”と我楽多市(がらくたいち)

2016年10月号

 飛騨高山というと、赤い中橋を思い浮かべる方も多いかと思いますが、今回の奥飛騨だよりでご紹介させていただきますのは、中橋の1つ下流にある筏橋(いかだばし)のお話しになります。
 この筏橋ですが、地元では ”みそ買い橋” とも呼ばれています。理由はその名のとおり ”橋のたもとにみそ屋があったこと” らしいのですが、実は飛騨の昔話の舞台としても知られています。

筏橋(みそ買い橋)

筏橋(みそ買い橋)

筏橋から上流の赤い中橋を眺めます

筏橋から上流の赤い中橋を眺めます

以下にWebに掲載されていた「みそ買い橋」のあらすじを記載します。 http://nihon.syoukoukai.com/modules/stories/index.php?lid=91

= みそ買い橋 =
 乗鞍岳のふもとの沢田という村にすむ正直者の炭焼きの長吉(ちょうきち)という若者がおりました。
ある日、夢に仙人が現れて「高山の“味噌買い橋”のたもとに立っておればよい話が聞ける」というのです。長吉は半信半疑だったものの、わざわざ夢に出てくるくらいなのだからと炭を売りにいくついでに高山の味噌屋の前にある“味噌買い橋”のたもとに立って待ってみました。
しかし、誰かが話しかけてくれるわけでもなく何日待っても「よい話」は聞けずじまいでした。やはり、ただの夢だったのかと思い始めた5日目になって、とうとう味噌屋の主人が「何日も突っ立って一体どうしたのだ?」と話しかけてきました。
事情を聞いた味噌屋の主人は「馬鹿正直に夢などを信じるものではない」と大笑いしました。「でも仙人が教えてくれた夢だ」と長吉が反論すると、味噌屋の主人は「ならば言うが、わしも仙人が夢に現れて“沢田の村の長吉という男の家の裏に立つ松の木の根元には大金が埋まっているぞ”と言うたが、わしは沢田の村なんぞ知らないし、そんなことは信じやしない」と言うではありませんか。
あぁまさしくこれが夢のお告げだったのだと愕然とした長吉は、味噌屋の主人への挨拶もそこそこに村へ帰った。そして家の裏の松の木の根元を掘り返すと、そこには話のとおりに大金が埋まっていた。夢を正直に信じた長吉は大金を手に入れて裕福に暮らしたのだった。

 良くありがちな話しとは言え、シンプル且つ実際に名前の残った橋もあるからでしょうか、また、中年層には懐かしいアニメ、「まんが日本昔ばなし」でも放送された事があり、私が小学生くらいに教わった飛騨の昔話の中でも、一番記憶に残っています。子供ながらに地元の昔話が全国ネットで放送されたことに、素直にすごい(何故か少し誇らしげ・・)と感じたことを思い出しました。

 子供の頃は筏橋を通る度、ここがみそ買い橋かと思っては通ったものの、何かそれに関係するようなものが周辺に存在したかといった記憶が全くありません。そこでまずはこの散策のはじめに、みそ屋を探したのですが、残念ながら、それらしいお店は発見できませんでした。
しかし橋の東西には、みそ買い橋の名前の由来が記載してある石碑や、看板を掲げたお店(みたらし団子屋)を見つけることができました。
こういった記載を見つけると、歴史に少し触れた気がして、わくわくしてきますね。

橋のたもとの石碑

橋のたもとの石碑

「みそかいばし」の看板を掲げたお店

「みそかいばし」の看板を掲げたお店

 この昔話にあやかろうとしても、肝心な夢のお告げを受けておりませんので、何日待とうとも大金を授かることはできませんが、筏橋からつながる ”さんまち通り” にて、4~10月の第一日曜日に歩行者天国を実施し、市内の古美術商約20軒による「我楽多市(がらくたいち)」が開かれています。

筏橋から我楽多市を眺める

筏橋から我楽多市を眺める

観光客や地元のお客様

観光客や地元のお客様

我楽多の数々①

我楽多の数々①

我楽多の数々②

我楽多の数々②

開店準備中の商店

開店準備中の商店

歩行者天国の ”さんまち通り”

歩行者天国の ”さんまち通り”

商品は掛け軸、彫り物等の置物、着物(端切れも)、陶器、など様々です。
こうして見てみると、古美術といえばそうなのですが、いわゆるフリーマーケットに近いなと感じます。
撮影した時間が朝9時でしたので人が少なく感じますが、これが数時間すると観光客でいっぱいになってしまいます。
 さて、気になる金額なのですが、数百円~十数万円とお安いものからお高いものまで、ぴんきりです。
購入されていくお客様を見ている感じでは、数千円の範囲で観光ついでに持ち帰れるようなものを購入されていくのが多いようにみえました。
特に高山は外国人観光客が多いので、珍しい気になる商品が多いのかもしれませんね。

 みなさんも、みそ買い橋のたもとで買った”がらくた”が、いつしか価値が何倍にもなる・・なんてこともあるかもしれません。
夢に誘われたらもちろんですが、自身の勘を生かして、みそ買い橋&我楽多市までお出かけされてはいかがでしょうか。

(参考)高山市観光サイト(我楽多市)
http://kankou.city.takayama.lg.jp/2000575/2000576/2000828.html

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