奥飛騨だより

ゆかしき飛騨弁

2019年11月号

秋も深まり、冬支度をする飛騨地域ですが、これから寒さに閉じ込められる孤独さを想ってか、 人々の会話は何でもない事でも語り合い、お互いを励まし合うように微笑み合って日常を過ごしています。

つまり飛騨の厳しい環境を同じように生き抜く人たちの中で培われた言葉が飛騨弁です。 イントネーションの特徴としては、語尾を「な~~」とか「さ~~」とか上下に抑揚をつけて伸ばすことが多く、 反応を伺うように語りかける心遣いが感じられます。

飛騨の中でも地域によって多少の違いがありますが、 私が生まれ育った古川町の常用語を厳選した飛騨弁語録を「あいうえお」順にご紹介いたします。

ちなみに私の父母は、昭和一桁年の古川生まれで今も現役の「ねーてぃぶ飛騨弁スピーカー」です。 もちろん日常会話は飛騨弁ですし、母はボランティアで朗読のかたりべをやっていますが、 何を読んでも飛騨弁のイントネーションになってしまいます。(うけています!)

飛騨弁意味使い方
あいさ あいだ 戸棚と壁のあいさに落ちてまった
あいふうに あのように あいふうにやりね〜
あくれる ふざけて騒ぐ 子供があくれとる
あさまり 朝方 朝まりからすませんな~
あしたり 明日 あしたりゃ雨やぞ
あっこり がっかり 東大受験で落ちてあっこりしてまった
あらすか ~ではない そんなことあらすか
あらそう からかう そんねあらそうなよ~
あんばよう 正常に この車あんばようしてくろ
いこまいか 行きましょう そしゃいこまいか
いたまかす 壊す だりがいたまかしたんや
いらんこと 余計なこと いらんこと言うなよー
うたてい ありがたい こんね貰ってうたていな~
うっつくしょう きれいさっぱり うっつくしょう食べたな〜
えがむ 歪む メガネがえがんどるぞ〜
おいた 嫌だ、止める そんならおりはおいたさぁ
おすない 怖い おめのかあちゃんおすないな〜
おぞい 悪い おぞい目にあったな~
おらまり 自分ら おらまりではいっつもやぞ~
かかりえ〜 いいかげん あいつはいっつもかかりえーやでだしかん
かざぐ 臭いを嗅ぐ くさっとらんかかざぐ
かんにする 許す 頼むでかんにしてくれ
かんにせん 許さない ひでえ事やで絶対にかんにせんぞー
きんの 昨日 きんのの夜さりはよう飲んだな〜
くずし かまぼこ くずしを煮とるんか
くそでっち いたずら小僧 このくそでっちが〜
くもじ 漬け物 煮たくもじゃうめ〜な〜
くんででる はみ出す なんやらくんででとるぜ〜
げばす 失敗する ハクションしたらげばいてまった
けぶたい 煙たい かまどのけぶりがけぶたいな~
こ~わいさ~ 恥かしい・申し訳ない あ~れこ~わいさ~
ごがわく 腹が立つ あいつにやぁごがわくな~
ござる おいでになる 奥にござるぞ
こぜる すねる あらそったらこぜてまった
こつける ぶつける へこんどるけどおめがこつけたんやろ〜
こっすい ずるい わりゃこっすいな~
ささって 3日後 今度はささってやぜ
さむぼろ 鳥肌 寒くてさむぼろができた
しゃっと しっかりと しゃっとしんとだしかんよ
しゃべりばち おしゃべり あいつはしゃべりばちやな〜
しゃれこき おしゃれな人 しゃれこきなじいちゃんやな〜
しんびょう 静か 夜中はしんびょうやな
すべらかい ツルツル状態 さわるとすべらかいな~
ずぼりこむ 潜り込む こたつにずぼりこむ
すまいた 返した 図書館に本をすまいてきた
せで 早く せでしねーよ
せばい 狭い この通りはせばいな~
せわない 簡単 そんなことせわないさ
せんならん しなければならない 待たせとるで早よせんならんのや
そいな そうなのですよ そいな(相槌)、どうしょうもねんやさ
そう 言う 誰かがそったんやさ~
そぉーそと ゆっくりと、丁寧に こぼれるでそぉーそと持ってきねーよ
そしゃ それでは そしゃそやぞ
そやけど そうですが そやけどどもならんのやさ
そやぞ そうである そやぞ言う通りや
そやで そうだから そやでだしかんのやさ
たいていでねぇ 大変である こんだけあると持ってくにたいていでねぇ
たくる 引っ張る そんにたくるなよ
だしかん だめだ そんなことしたらだしかんよ
たしない 少ない たしないけどとっときねー
だっしゃむねぇ 散らかっている あそこはだっしゃむねぇな~
たばる 保管する 使わんずにたばっとけよ~
ためらう 身体に気をつける ためらってな〜
だら 馬鹿 わりゃだらやな〜
だり ありゃだりや?
ちったぁ 少しくらいは ちったぁ呑んでもええやろ
ちびてい 冷たい 谷川はちびていな~
ちょける ふざける いつまでちょけとるんや
つかつか そそっかしく つかつかと出てったらこけてまった
つめをかう 鍵をかける 夜はつめかっとけよ
つらって 一緒に つらって行かんか
てきない 息苦しい・気が重い がんばりすぎててきない
でこなる 大きくなる しらんまにでこなったな~
てむずり いじくりまわす てむずりしていたまかいてまった
どいとく その場から離れる ちょっとどいとくさ~
どうさねぇ 簡単なこと まかせとけどうさねぇで~
どこでか いつか どこかで行かんかよ
どさい ひきがえる どっかでどさいが鳴いとるぞ
どさり たくさん きゅうりがどさりとれたぜ~
どっちこっち 同じくらい どっちこっちやさ
とっぺ 豆腐 とっぺは醤油かけて食えよ
となわ トウモロコシ となわをやいてくう
とばしり 跳ね返り くるまのとばしりで濡れてまった
どぼしこむ 落ち込む こえだめにどぼしこんでまった
どもならん どうしようもない もうどもならんのやさ~
とろくせい 動作が鈍い とろくせいでここで待っとれ
どんびき カエル どんびき捕ってきたぞ
なまか 怠ける なまかしとるな~
にごし 米のとぎ汁 にごしを花にまく
にすい 鈍感 にすい奴やなぁ
にたくもじ 漬物を煮た料理 にたくもじはうめぇ~ぜ
にわる にぎわう まつりでにわるな~
ねさま 若奥様 ねさまござるかな?
ねぶてい 眠い もうねぶていでねてまう
のうなる 無くなる うっつくしょう、のうなった
のくてい 温かい のくていふとんやな~
のならかす 無くす さいふをのならかしてまった
はえこと 早いこと はえことおいで
ばがた 夕方 ばがたに風呂に入るぞ
はぐる めくる 布団をはぐって入る
はじかい 表面がざらついている はじかい手やな~
はつける 張りつける その紙かべにはつけとけ
はりこむ 精一杯頑張る お見合いにはりこんででてったぜ~
はんちくたい じれったい うんまいこといかんではんちくたい
びー 女の子 そこのびーはかわええな
ひだるい おなかが減った ひだるいでなんか食べんか
ひとどこ 一箇所 ひとどこに集まってやらんか
ひるまり 昼間 ひるまりに山行かんかよ
ふけらかす 自慢する ええ時計をふけらかしとる
ぶんぶ ぶんぶ飲め~
へくさむし カメムシ へくさむしおるけど触りとね~
へぼい 弱い へぼいで負けるんやさー
べんこくさい 生意気 あそこの坊はべんこくせーぞ
へんべ 庭にへんべがおるぞ~
ほかる 捨てる もういらんでほかるぞ
ほっとけな 本当ですか そりゃほっとけな
ぼぼ 赤ん坊 はじめてのぼぼができたんや
ぼぼさ 人形の絵 おー、ぼぼさ書いたのか
ぼんぼ おんぶ ぼんぼしてくれー
まぐなる 丸くなる へんべがまぐなっとるぞ
またじ 片付ける 今日も雪またじやなー
まちょに まともに どしてまちょに出来んのや
まんだ 未だ まんだけなー早よしねーよ
みしょ 見せてくれ ないしょでみしょ
めめず みみず めめずで魚釣り
やきび 火傷 やきびしてまった
やくたいもねぇ とんでもない おめーはやくたいもねぇ奴やな
やくと わざと やくとぶつけたんやろ
やけな 乱暴な やけにしんでー壊れてまうで
やらすか やらない そんなことやらすかよー
やらん あげない ほしがってもやらんぞー
やわい 用意する ちゃんとやわっとけよー
やんだす 前に出す こらーあぶねーでやんだすなよー
やんな やるな どうせ無理やでやんな
よさり 夜中 あしたのよさりに会わんかよ
よした よくやった そりゃよしたなー
よった 変な よったいな事言うなよー
よわる 困る こりゃよわったなー

※飛騨の生まれ育ちで50歳以上の方は、間違いなく「飛騨弁ねーてぃぶ」ですので、 使い方や意味合いを教わって、インバウンドのおもてなしに活用しましょう。

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